中国の習近平国家主席(共産党総書記)は、北北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)氏が北朝鮮労働党の総書記に就任したことを受け、祝電を送った。中国中央テレビ(CCTV)が報じた。両国の結束を改めて強調し、伝統的な友好関係の発展に意欲を示した形だ。
祝電で中朝の結束を強調
祝電の中で習近平氏は、金正恩氏が北朝鮮労働党の第8回党大会で総書記に選出されたことについて、「北朝鮮労働党と人民の信頼と支持の表れだ」と祝意を伝えた。その上で、金氏の指導の下、党と人民が一致団結し、社会主義建設をさらに推進することへの期待を表明した。
北北朝鮮は2021年1月に開催した第8回党大会で党規約を改正し、それまでの「党委員長」のポストを「総書記」に変更。金氏を総書記に推戴していた。
伝統的友好関係の発展に意欲
習氏はまた、中国と北北朝鮮は「山河が連なる友好的な隣国だ」と指摘。両国の伝統的な友好協力関係を維持し、発展させることは両党・両国の揺るぎない方針であると強調した。今後も関係を新たな段階へ引き上げることで、地域に平和と安定、発展と繁栄をもたらすために積極的な貢献をしたいとの考えを示した。
この祝電は、米国との対立が続く中、中国が北北朝鮮との連携を重視し、地域の安定に関与していく姿勢を改めて示したものとみられる。
日本への影響
習近平氏が金正恩氏の党総書記就任に祝電を送ったことは、日本にとって複数の具体的な影響をもたらす。まず、CCTVが報じたように「伝統的な友好関係を新たな段階へ引き上げる」という表現は、中朝間の軍事的・経済的連携強化を示唆する。これは、北朝鮮の核・ミサイル開発問題において、中国がこれまで以上に北朝鮮を擁護する可能性を高め、国連安全保障理事会における対北朝鮮制裁決議の強化を困難にする。結果として、日本の安全保障環境は一層厳しさを増し、弾道ミサイル防衛体制の再検討を迫られる可能性がある。
次に、米国との対立が続く中で中国が北朝鮮との連携を重視する姿勢は、東アジア地域における米中対立の激化を招きかねない。日本は日米同盟を基軸とする外交戦略を持つため、中朝接近は米国の対中・対北朝鮮政策に影響を与え、結果として日本の外交的立ち位置を複雑化させる。特に、朝鮮半島有事の際、中国が北朝鮮を強く支持する姿勢は、日本の避難民受け入れや自衛隊の活動範囲に制約をもたらすリスクがある。
最後に、中朝間の経済協力強化は、国境貿易の活性化を通じて北朝鮮経済を安定させ、制裁の効果を減殺する可能性がある。これは、日本の対北朝鮮政策、特に「対話と圧力」路線における「圧力」の有効性を低下させる要因となる。日本政府は、中朝接近の動向を注視し、多国間枠組みや米国との連携を通じて、北朝鮮の非核化に向けた新たな戦略を構築する必要がある。