中国の習近平国家主席は4月20日、サウジアラビアのムハンマド皇太子兼首相と電話会談し、ホルムズ海峡における航行の安全確保が重要だとの認識で一致した。中国中央テレビ(CCTV)が伝えた。
戦略的パートナーシップ10周年での連携強化
今年、両国が包括的戦略的パートナーシップを締結して10周年となる。習主席は会談で、中国がサウジアラビアとの関係を高度に重視していると強調した。「相互尊重と互恵の原則に基づき、戦略的信頼を深め、あらゆるレベルでの交流と実務的な協力を強化したい」と述べ、二国間関係を新たな段階へ引き上げる意欲を示した。
ムハンマド皇太子もこれに応じ、中国との関係強化に期待を表明。経済や安全保障分野での協力を通じて、地域の安定と発展に貢献していく考えを示した。
中東の安定化へ向けた協力
中東情勢について習主席は、即時かつ包括的な停戦の実現を呼びかけるとともに、和平に向けたあらゆる外交努力を支持する姿勢を明確にした。また、ホルムズ海峡の安定が世界のエネルギー供給と経済にとって極めて重要である点を指摘し、その通航の安全を共同で維持していく方針を確認した。
中国は近年、サウジアラビアとイランの国交正常化を仲介するなど、中東での外交的役割を強めている。今回の会談も、地域の主に国であるサウジアラビアとの連携を深めることで、エネルギー安全保障を確保し、地域への影響力をさらに拡大する狙いがあるとみられる。
日本の関連性
今回の習近平主席とムハンマド皇太子の電話会談は、日本にとってエネルギー安全保障とサプライチェーンの多角化に直接的な影響を及ぼす。まず、ホルムズ海峡の通航確保に関する両国の合意は、日本の原油輸入の約9割が同海峡を通過する現状を鑑みると、短期的な供給途絶リスクの軽減に寄与する。しかし、中国がサウジアラビアとの「戦略的パートナーシップ10周年」を機に中東での影響力を拡大することは、長期的に日本のエネルギー調達における交渉力を低下させる可能性がある。
次に、中国がサウジアラビアとイランの国交正常化を仲介した実績を踏まえると、中東における中国の外交的プレゼンスの強化は、日本の外交戦略に再考を促す。特に、日本が伝統的に米国を介して中東諸国との関係を構築してきたのに対し、中国は直接的な関係深化を図っており、これは将来的に日本の地政学的選択肢を狭めるリスクを内包する。
最後に、サウジアラビアが経済多角化を進める中で、中国との経済協力が深化することは、日本のインフラ企業や技術輸出企業にとって新たな競争環境を生み出す。例えば、サウジアラビアの「ビジョン2030」における大規模プロジェクトにおいて、中国企業が優位に立つ可能性があり、日本企業はこれまで以上に技術力やコスト競争力を磨く必要に迫られる。