中国の新興企業、星空夢屋(重慶)科学技術有限公司がエンジェルラウンドとプレシリーズAラウンドで、合計8000万元(約17億円)の資金調達を完了した。同社は新エネルギー車(NEV)の技術とスマートホームのソリューションを融合させ、欧米の成熟市場をターゲットとしたスマートキャンピングカーの開発・製造を手がける。

EV技術を応用した次世代型トレーラー

星空夢屋は、中国のスマート製造サプライチェーン、NEV分野のスマート運転技術、家庭用スマート製品のノウハウを統合し、ハイエンドなキャンピングトレーラーを開発している。同社の最大の特徴は、自社開発した乗用車レベルの電動トレーラー用シャシーだ。

この独自の統合プラットフォームは、エネルギー、スマート運転支援、車両制御の3システムを深く連携させる。45kWhから85kWhの大容量リチウムイオン電池と太陽光発電システムを搭載し、外部電源なしで14日間のオフグリッド連続稼働が可能だとしている。

3000億元規模の世界市場を狙う

調査会社によると、2024年時点の世界のキャンピングカー(RV)保有台数は約2300万台で、そのうち牽引するトレーラー型が7割以上を占める。世界市場は北米や欧州が中心で、2026年には販売台数が76.8万台、市場規模は約3000億元(約6.3兆円)に達すると予測されている。

星空夢屋は、この巨大市場に対し、全地形対応の「Aシリーズ」、高速道路向けの軽量な「Rシリーズ」、オフロード仕様の「Fシリーズ」という3つの製品ラインを投入する計画だ。2026年以降、オーストラリア、北米、欧州で順次、量産モデルの納車を開始する目標を掲げている。

日本への影響と今後の展望

星空夢屋の8000万元調達は、日本の自動車・部品メーカー、特にキャンピングカー関連企業に新たな競争環境をもたらす。同社がNEV技術とスマートホームソリューションを融合させ、45kWhから85kWhの大容量バッテリーで14日間オフグリッド稼働を可能にしたことは、日本のキャンピングカー市場の技術革新を加速させる可能性がある。日本のメーカーは、単なる居住空間としてのキャンピングカーから、EV技術を核とした「動くスマートハウス」への転換を迫られるだろう。

具体的には、星空夢屋がターゲットとする欧米市場は、日本のキャンピングカーメーカーも輸出を強化している領域であり、直接的な競合となる。特に、牽引型トレーラーが世界市場の7割以上を占める現状を鑑みると、日本のトレーラーメーカーは星空夢屋の「乗用車レベルの電動トレーラー用シャシー」開発動向を注視し、自社の電動化戦略を再検討する必要がある。

また、日本の部品メーカーにとっては、新たなビジネスチャンスが生まれる。星空夢屋のような中国スタートアップがEVキャンピングカー市場に参入することで、高効率太陽光パネル、軽量・高強度素材、先進的なバッテリーマネジメントシステムなど、日本企業が得意とする技術への需要が高まる可能性がある。ただし、中国企業がサプライチェーンを自国で完結させる動きも強いため、単なる部品供給に留まらず、共同開発や技術提携といった形で深く関与する戦略が求められる。日本の企業は、この新たな市場の成長を取り込むため、既存のビジネスモデルを超えた柔軟な対応が不可欠となる。