中国の電気自動車(EV)大手、XPENG(シャオペン)が「空飛ぶクルマ」事業を新たな成長の柱と位置づけ、分社化して香港証券取引所での新規株式公開(IPO)を計画している。JPモルガンとモルガン・スタンレーが上場を支援する。

2030年に1000億ドル規模へ、市場の急成長予測

空飛ぶクルマ市場は、今後大きな成長が見込まれている。モルガン・スタンレーは、同市場が今後20年以内に急拡大すると予測。また、招商証券国際(CMSI)のリポートによると、市場規模は2026年に95億元(約2000億円)に達し、2030年には1000億ドル規模にまで成長する見通しだ。

成長事業の分社化で資金調達を加速

XPENGは、この成長著しい空飛ぶクルマ事業を独立会社として上場させることで、開発資金の調達を加速させる狙いだ。IPOを通じて、空飛ぶクルマ市場の将来性と自社の技術力を投資家にアピールし、先行者利益を確固たるものにしたい考えである。

まとめ:日本への示唆

XPENGの空飛ぶクルマ事業IPOは、日本の自動車産業、特にティア1サプライヤーにとって、新たな市場機会と同時に既存サプライチェーンの再編を促す。第一に、モルガン・スタンレーが予測する2030年の1000億ドル規模の市場は、日本の精密部品、軽量素材、航空電子機器メーカーにとって巨大な輸出機会となる。例えば、EVで培ったバッテリー技術やモーター技術は、空飛ぶクルマの動力源として直接的な応用が可能であり、日本のサプライヤーはXPENGのような先行企業との連携を模索すべきだ。

第二に、XPENGがJPモルガンとモルガン・スタンレーを幹事に据え、香港でのIPOを目指す動きは、中国資本がモビリティの次世代フロンティアを積極的に開拓する姿勢を示している。これは、日本の自動車メーカーがEVシフトで後れを取った教訓を活かし、空飛ぶクルマ開発への投資を加速させる契機となりうる。特に、トヨタやホンダといった大手は、自社での開発に加え、スタートアップへの戦略的投資や共同開発を通じて、この新市場でのプレゼンスを確立する必要がある。

第三に、CMSIのリポートが示すように、2026年には95億元に達する中国国内市場は、日本の航空規制当局やインフラ企業にとって、法整備やインフラ整備における協調の必要性を提起する。空域利用や安全基準の国際的な整合性が求められる中、日本は中国と連携し、共通のルール形成に貢献することで、将来的な日本企業の市場参入を円滑化できるだろう。XPENGの動きは、単なる資金調達を超え、次世代モビリティの国際的な競争と協調の構図を浮き彫りにしている。