中国の企業向けソフトウェア大手、用友ネットワーク(Yonyou)は2025年の業績予想を公表した。それによると、2025年の売上高は91億7000万元(約1834億円)から92億7000万元(約1854億円)に達する見込みだ。これは前年比で増加し、収益基盤の安定化を示すものだ。

売上増と損失縮小で収益性改善へ

同社の発表によると、2025年は増収に加え、収益性の大幅な改善を見込んでいる。純損失は前年比で6億7100万元から7億6100万元縮小する見通しだ。これは、事業構造の最適化と高付加価値サービスの拡販が奏功していることを示唆する。

キャッシュフローも大幅に改善する。2025年の営業キャッシュフローは7億元のプラス(純流入)となる見込みで、前年から10億元改善する計算だ。財務の健全化が進んでいることがうかがえる。

AI事業が新たな成長エンジンに

業績回復の背景には、戦略事業の成長がある。特にAI関連事業が好調で、2025年第3四半期までの累計契約額は7億3000万元を超えた。同社はこれを新たな収益成長の牽引役と位置づけている。

同時に、収益構造の最適化を進め、収益の質を向上させていることもキャッシュフロー改善に寄与している。主力事業であるクラウドサービスのARR(年間経常収益)は、2025年第3四半期末時点で27億8000万元に達し、前年同期比で16.3%増加した。

今後、用友ネットワークはAI技術の応用をさらに推進し、主力製品である「用友BIP(Business Innovation Platform)」の開発を強化することで、市場競争力を高める方針だ。

日本の関連性

用友ネットワークの業績改善は、日本企業にとって二つの具体的な影響をもたらす。まず、同社のAI関連事業の急成長は、日本のSaaS企業やITサービスプロバイダーにとって、中国市場での競争激化を意味する。用友ネットワークが2025年第3四半期までにAI関連契約で7億3000万元を計上したことは、中国企業がAI技術を急速にビジネスに取り込み、新たな収益源としている現実を示す。これは、日本の同業他社が中国市場で事業展開する際、単なるコスト競争だけでなく、AIを活用した付加価値サービスでの差別化が不可欠となることを示唆する。

次に、用友ネットワークの「用友BIP」強化は、中国市場におけるERP(統合基幹業務システム)やSaaS分野での日系企業の機会を限定する可能性がある。同社が純損失を最大7億6100万元縮小し、営業キャッシュフローを10億元改善する見込みであることは、中国企業が自社技術力を強化し、国内市場でのシェアを盤石にしている証拠だ。これにより、日本のソフトウェアベンダーやシステムインテグレーターが中国企業向けにサービスを提供する際、用友ネットワークのような強力な国内競合の存在を前提とした戦略構築が求められる。特に、中国企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)需要を取り込むには、単なる製品提供に留まらず、中国の商習慣やデータ規制に深く適合したソリューション開発が不可欠となるだろう。