ファーウェイと自動車メーカーのSERESが共同開発した高級電気自動車(EV)ブランド「AITO(問界、HUAWEI×SERES)(アイト)」が、中国市場で存在感を高めている。2021年に設立された同ブランドは、M9、M8、M7、M5の各シリーズを展開し、ソフトウェア主導のクルマづくりで注目を集める。
主力モデル「AITO(問界、HUAWEI×SERES) M5」
AITO(問界、HUAWEI×SERES)ブランド初のモデルとして2021年12月23日に発表されたのが「AITO(問界、HUAWEI×SERES) M5」だ。ミドル・ハイエンドクラスのスマートEVに位置付けられ、開発にはファーウェイのコンシューマー事業部門が深く関与している。
車載システムにはファーウェイ独自の「HarmonyOS (鴻蒙)」が採用され、同社のエコシステムと連携。インダストリアルデザインやエンジニアリング技術にもファーウェイの知見が活かされている。価格は24万9800元(約550万円)からとなっている。
上位モデル「AITO(問界、HUAWEI×SERES) M7」
2022年7月4日には、より大型で豪華なスマートEV「AITO(問界、HUAWEI×SERES) M7」が発表された。同モデルは、独自開発の「6-in-1 レンジエクステンダー・パワートレイン」を搭載しているのが最大の特徴だ。
このほか、駐車場のフロアを自動で認識する機能や、360度パノラマビュー対応の自動駐車システムなど、先進的な機能も備える。コンフォート、ラグジュアリー、フラッグシップの3グレードが設定され、いずれもレベル2+のADAS(先進運転支援システム)を標準装備する。価格は31万9800元(約700万円)から。中国の自動車専門メディア、汽車之家が報じた。
日本企業への示唆
ファーウェイとSERESによるAITOブランドの高級EV市場参入は、日本の自動車産業に複合的な影響をもたらす。まず、AITO M5が24万9800元(約550万円)からという価格帯でHarmonyOSを搭載し、ファーウェイのエコシステムと連携を深めることは、日本の自動車メーカーがこれまで強みとしてきた車載ソフトウェアやコネクテッドサービス分野での競争激化を意味する。特に、トヨタやホンダが中国市場で展開する高級セダンやSUVの顧客層と直接競合し、販売戦略の見直しを迫られる可能性がある。
次に、AITO M7が独自開発の「6-in-1 レンジエクステンダー・パワートレイン」を搭載している点は、日本の部品サプライヤーにとって新たな機会とリスクを同時に提示する。ファーウェイがEVの基幹部品まで内製化を進めることで、日本の駆動系部品メーカーへの依存度が低下する懸念がある一方で、同社が今後グローバル展開を加速する際に、特定の高性能部品や素材において日本の技術が必要となる可能性も残る。
最後に、ファーウェイが自動車開発においてデザインからエンジニアリング、ソフトウェアまで深く関与する「ソフトウェア主導のクルマづくり」は、日本の自動車メーカーが従来のハードウェア中心の開発体制から脱却し、よりアジャイルな開発手法や異業種連携を強化する必要性を示唆している。特に、自動運転や先進運転支援システム(ADAS)の進化が加速する中で、日本のメーカーは中国のIT企業との協業や、新たな技術パートナーシップの模索が急務となるだろう。
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