中国で、脳と機械を直接接続するブレイン・マシン・インターフェース(BMI)技術の開発が国家主導で加速している。イーロン・マスク氏率いる米ニューラリンク(Neuralink)が2026年の大規模量産計画を掲げるなか、中国も独自の産業エコシステム構築を急いでおり、市場規模は2028年までに61億4000万元(約1300億円)に達すると予測されている。

急拡大する中国のBMI市場

中国のBMI市場は急成長を続けている。中国メディアの報道によると、2024年の市場規模は前年比18.8%増32億元(約672億円)に達した。この成長が続けば、2028年には61億4000万元規模に拡大する見通しだ。医療分野での応用だけでなく、エンターテインメントや教育など、幅広い分野での活用が期待されている。

政府主導で開発を加速

中国政府はBMI技術の開発を国家戦略の柱の一つと位置付け、支援策を相次いで打ち出している。工業情報化部など7部門は共同で、BMI産業の発展を促す指導意見を発表。2027年までに基幹技術でブレークスルーを果たし、先進的な技術・産業・標準の各体系を確立する目標を掲げた。

地方政府も積極的に動いている。上海市黄浦区科学技術委員会は、BMI技術開発を支援する具体的な措置を発表。北京、湖北、浙江などの各省・市でも同様の支援政策が導入されており、国と地方が一体となって産業育成に取り組む姿勢が鮮明になっている。

日本への影響と今後の展望

中国のBMI市場が2028年に61億4000万元に達する予測は、日本企業にとって二つの明確な影響をもたらす。第一に、医療機器分野における新たな競争激化である。中国政府がBMIを国家戦略と位置付け、工業情報化部など7部門が共同で支援策を打ち出すことで、中国国内メーカーの技術力と生産能力は飛躍的に向上する。日本の医療機器メーカー、例えばオリンパスや富士フイルムは、診断・治療領域で培った技術的優位性を、BMI応用分野でいかに差別化し維持するかが問われる。特に、中国が掲げる2027年までの基幹技術ブレークスルー目標は、日本の技術開発ロードマップに影響を与えるだろう。

第二に、エンターテインメントや教育分野での協業機会の創出である。中国のBMI市場は医療分野だけでなく、これら広範な応用が期待されており、年率18.8%増という急成長は、日本のアニメ、ゲーム、教育コンテンツ企業にとって、新たなプラットフォームでの展開可能性を示唆する。例えば、ソニーや任天堂は、VR/AR技術とBMIの融合による次世代エンターテインメント体験の共同開発や、中国市場へのコンテンツ提供を通じて、新たな収益源を確保できる可能性がある。ただし、データ主権や知的財産権保護の観点から、中国企業との提携には慎重なデューデリジェンスが不可欠となる。