中国人民銀行(中央銀行)が2月7日に発表したデータによると、2024年1月末時点の金準備高は7219万オンスとなり、2023年12月末から32万オンス増加した。金の保有量を増やすのは15カ月連続となる。同国の外貨準備高も前月末比412億ドル増の3兆3991億ドルに達し、市場の予想を上回った。
金準備の積み増しと外貨準備高の増加
中国の金準備高は、2022年11月から一貫して増加傾向にある。この動きは、米ドルへの依存を減らし、準備資産の多様化を進める戦略の一環とみられる。国家外貨管理局は、1月の外貨準備高の増加について「主に経済国の金融政策や市場の期待といった要因を受け、ドル指数が下落し、世界の金融資産価格が総じて上昇したためだ」と説明した。
中国の外貨準備高が3兆3000億ドルを超えるのは6カ月連続。1月は米連邦準備制度理事会(FRB)高官からタカ派的な発言があったものの、市場では早期利下げ観測が根強く、ドル安が進行。非ドル建て資産のドル換算額を押し上げる要因となった。
専門家による市場分析
民生銀行の温彬首席エコノミストは、1月の外貨準備高の増加は資産価格と為替レートの変動が主な要因だと指摘する。国家金融・発展実験室の龐溟(ほう・めい)特別招聘上級研究員も、非ドル通貨の対ドルでの上昇や、主にな金融資産価格の変動による評価益が寄与したと分析している。
また、龐氏は「国内の国際収支が基本的に的に均衡を保ち、企業や個人の為替決済需要も比較的穏やかで、市場の人民元相場に対する期待が安定していることも外貨準備高の安定に繋がった」と述べた。新華社通信などが一連のデータを報じた。
日本企業への示唆
中国人民銀行の金準備積み増しは、日本企業にとって二つの具体的な影響を及ぼす。まず、中国が米ドル依存度を下げ、金へのシフトを加速させることは、日系企業が中国市場で事業を行う上での為替リスク管理に新たな視点を提供する。特に、中国の対外貿易決済における人民元建て比率の拡大や、金価格の変動が人民元相場に与える影響を注視する必要がある。例えば、中国が金準備を15カ月連続で積み増している事実から、ドル建て資産から非ドル建て資産への分散投資を検討する動きが今後も強まる可能性があり、これは日本企業が中国との取引において人民元建て決済の比重を高める誘因となるかもしれない。
次に、中国の外貨準備高が3兆3991億ドルに達し、その増加要因が「ドル指数下落」と「世界の金融資産価格上昇」にあると国家外貨管理局が説明している点は、日本企業のサプライチェーン戦略に影響を与えうる。中国が保有する膨大な外貨準備が、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策や世界経済の動向によって価値が変動することは、中国経済全体の安定性に影響を及ぼす。もし外貨準備の評価益が減少に転じれば、中国国内の景気刺激策や投資環境に変化が生じる可能性があり、中国に生産拠点を置く日本の製造業は、サプライチェーンの多角化や代替調達先の確保をより積極的に検討する必要がある。これは、中国市場での事業継続性リスクを低減する上で重要な示唆となる。