中国の習近平総書記(国家主席)は、経済社会の発展を推進し課題を解決する上で「着実な実行」が鍵となるとの考えを改めて強調した。2026年から始まる「第15次五カ年計画」期間中の社会主義現代化の達成を見拠え、中国共産党の伝統である実践主義の重要性を訴えた形だ。新華社通信などが伝えた。
党の伝統としての「実践主義」
中国共産党は、延安時代から新中国の成立、改革開放に至るまで、一貫して「着実な実行」を政策推進の基本的に姿勢としてきた。これは、事業を成し遂げる上で不可欠な道筋であり、難題を解決するための根本的な手段と位置づけられている。
習氏は、この伝統を継承し、幹部に対して事実に基づいて真理を探究する「実事求是」の姿勢を貫くよう求めている。机上の空論ではなく、現実的な行動を通じて成果を出すことを重視する考えを示した。
「新たな質の生産力」と経済目標
中国政府が現在掲げる重要政策「新たな質の生産力」の開発においても、この実践主義が重視されている。これは、AIやビッグデータなどのデジタル技術や、新エネルギー車(NEV)、先進的な製造業といったハイテク・グリーン産業の育成を指す経済戦略だ。
「第15次五カ年計画」期間(2026~2030年)は、中国が「社会主義現代化を基本的に的に実現する」という長期目標に向けた重要な段階となる。習氏は、目標達成のためには、幹部が「地に足をつけ、一心に業務に励み、長期的な視点で成果を追求する」必要があると強調している。
まとめ:日本への示唆
習近平氏が「着実な実行」を強調し「第15次五カ年計画」を見据える姿勢は、日本企業にとって二つの明確な機会と一つのリスクを提示する。
まず、中国が「新たな質の生産力」の柱として掲げるNEVやデジタル技術、グリーン産業への注力は、日本企業にとって技術供与や共同開発の機会を拡大させる。例えば、トヨタ自動車やパナソニックのような企業は、中国市場でのNEV関連部品やバッテリー技術の需要増を捉え、サプライチェーンにおける存在感を一層強化できる可能性がある。中国政府が「実事求是」の姿勢で現実的な成果を追求するならば、日本企業の持つ高品質な中間財やソリューションが、より評価されやすくなる。
次に、中国共産党の伝統である「実践主義」の再確認は、中国市場におけるビジネス環境の予測可能性を高める機会となる。政策の方向性が明確化され、机上の空論ではなく「地に足をつけ」た政策遂行が期待されるため、日本企業はより具体的な事業計画を策定しやすくなる。特に、これまで不透明感が指摘されてきたハイテク分野での規制運用において、実態に即した対応が期待できる。
一方で、リスクとしては、中国が「社会主義現代化」の達成に向け、自国技術の内製化を加速させる可能性が挙げられる。特に「新たな質の生産力」の推進は、中国が特定分野で自立性を高めることを意味し、将来的には日本からの技術輸入を抑制する方向に働くかもしれない。これは、日本のサプライヤーが中国市場での競争激化に直面し、新たな技術革新や差別化戦略がこれまで以上に求められることを示唆している。