中国税関総署はこのほど、企業の信用管理制度を改定し、信用格付けを従来の3段階から5段階に拡大する新たな管理規則を施行した。中小企業の支援を目的とした措置も盛り込まれており、中国で事業展開する企業の通関実務に影響が及ぶ見通しだ。

信用格付けを5段階に細分化

中国税関総署は、新たな管理規則に基づき、企業の信用格付けを「上級認証企業」「一般認証企業」「一般信用企業」「信用失墜企業」「重大な信用失墜企業」の5段階に再編した。従来は3段階だった格付けを細分化することで、より実態に即した管理を目指す。

同総署の企業管理・監査局で局長を務める林建田氏によると、この改定は国の信用システム構築を推進する一環だという。現行の制度が現状にそぐわなくなったため、認定手続きや管理措置の見直しが必要になったと、新華社通信の取材に対して説明している。

中小企業支援と「猶予制度」の導入

今回の改定は、中小企業の発展を支援する中国政府の方針を反映したものでもある。林氏は、これが中小企業を後押しする実質的な措置だと強調した。

また、新たに「猶予制度」が導入された。企業が税関規則に違反した場合でも、直ちに格付けを引き下げるのではなく、企業からの申請に基づき、税関が最長1年間の是正期間を与える。期間中、通関手続きの優遇措置は停止されるが、是正が完了すれば格付けと優遇措置は回復する。是正が不十分にな場合は、格付けが引き下げられる。

林氏はこの制度の核心について「小さなミスを容認し、大きなミスを防ぎ、是正を促進することだ」と述べた。

日本企業への示唆

中国税関の信用格付け5段階化は、日本企業にとって通関リスクと機会の両面で影響を及ぼす。まず、従来の3段階から5段階への細分化は、優良企業と問題企業との選別を厳格化する。特に「上級認証企業」の維持は、通関手続きの迅速化や検査頻度低減に直結するため、サプライチェーンの安定性確保に不可欠となる。日本の製造業や商社は、中国での事業展開において、この最上位格付けを維持するためのコンプライアンス体制強化が急務だ。

一方で、中小企業支援策と「猶予制度」の導入は、日本の中小企業、特に中国市場への新規参入や事業拡大を目指す企業に新たな機会をもたらす。これまでは軽微な違反でも即座に格付けが下がり、通関業務が停滞するリスクがあった。しかし、最長1年間の是正期間が与えられることで、不慣れな中国の税関規則に対する適応期間が設けられ、予期せぬトラブルによる事業停止リスクが軽減される。例えば、日本の自動車部品メーカーが中国で現地生産を行う際、初期段階での通関ミスに対する猶予は、生産計画の遅延を回避し、安定的な供給体制構築に寄与する。

ただし、猶予期間中の優遇措置停止は、即時生産や出荷を要する企業にとっては大きな負担となり得る。このため、日本企業は、猶予制度に過度に依存せず、林建田氏が指摘する「小さなミスを容認し、大きなミスを防ぐ」という中国税関の意図を理解し、事前のコンプライアンス徹底に努めるべきである。