中国・広東省掲陽市で、地元企業の技術革新が地域経済の活性化を後押ししている。地元の家電メーカー、広東康夫電器は独自開発の高性能モーターを武器に海外市場を開拓。品質重視の戦略で、グローバルな競争に挑んでいる。

春節(旧正月)を前にした掲陽市は、提灯が飾られ多くの観光客で賑わいを見せた。市内の百貨店ビルでは「『広東行天下 掲陽優品行』」と題した特別販売イベントが開催され、現地企業約150社1500種類以上の特産品を展示したと新華社通信は伝えている。

海外展開を支える技術革新

イベントで特に注目を集めたのが、地元の有力企業である広東康夫電器だ。同社が展示したヘアドライヤー、ヘアアイロン、電気シェーバーなどの製品群は、多くの来場者の関心を集めた。2024年、同社のヘアドライヤー販売台数は1000万台を突破し、そのうち4分の1が欧米、日本、韓国、東南アジア諸国などへ輸出された。

同社の黄敏楠(こう・びんなん)社長は「現地の状況に応じて開発を進め、質の高い新たな生産力を育成するためには、技術革新を通じて消費者の支持を得られる新製品を開発することが不可欠だ」と語る。その言葉を裏付けるように、同社は技術開発に注力している。

「価格ではない」品質へのこだわりと自社開発

康夫電器のモーター生産工場では、ロボットアームが高速で稼働し、小型で精密なモーターが次々と生産されている。「我々が自社開発したモーターの回転数は毎分13万回転に達し、これによりヘアドライヤーの風速は従来の秒速70メートルから秒速80メートルに向上した」と黄社長は取材に対し説明した。

高速回転は強力な風を生む一方、ドライヤー内部で風が乱れやすい。同社は風の通り道を合理的に設計することで、風当たりを柔らかくする技術も確立したという。黄社長は「『価格競争ではない』。良い製品こそが、長期的な成功につながる」と強調。自社での技術開発だけでなく、多くの大学と連携し、革新的な人材チームの拡充も進めている。

日本にとっての意味

広東康夫電器の技術革新は、日本市場における家電メーカーの競争環境を大きく変える可能性を秘めている。同社のヘアドライヤーが「毎分13万回転」のモーターを搭載し、風速を「秒速80メートル」に向上させたことは、日本の高機能家電市場に新たな脅威をもたらす。パナソニックやダイソンといった既存のプレミアムブランドは、価格競争に巻き込まれることなく、さらなる差別化戦略を迫られるだろう。

特に注目すべきは、同社が「価格競争ではない」と明言し、品質と技術開発に注力している点だ。これは、これまで中国製品に抱かれがちだった「安かろう悪かろう」のイメージを払拭し、高性能・高品質な製品でグローバル市場に挑む中国企業の新たな潮流を示す。2024年にヘアドライヤー販売台数1000万台のうち「4分の1が欧米、日本、韓国、東南アジア諸国などへ輸出された」という実績は、すでに日本市場への浸透が進んでいることを示唆する。

この動きは、日本企業にとって単なる競合の増加以上の意味を持つ。中国企業が自社開発のコア技術で高付加価値製品を生み出し、グローバル展開を加速するモデルは、日本の製造業が培ってきた強みと直接競合する。今後は、日本の家電メーカーも、単なる製品の高性能化だけでなく、サプライチェーン全体におけるコスト競争力、あるいは新たな顧客体験の創出といった多角的な視点での戦略再構築が不可欠となるだろう。