中国の企業情報プラットフォーム、天眼査 (Tianyancha) のデータによると、2024年末時点で中国の小規模・零細企業は1.3億社を突破し、事業者全体の66%を占めた。特に人工知能 (AI) や新エネルギー車 (NEV) などの新興産業が急成長しており、中国経済の新たな牽引役となっている。

経済の基盤を支える小規模・零細企業

小規模・零細企業は市場経済の活力の源泉であり、中国経済の安定を支える基盤だ。天眼査のデータによれば、2024年末時点で登録資本金500万元未満の小規模・零細企業の総数は1.3億社を超え、全事業者の66%を占めるに至った。

2024年通年では768万社が新たに設立され、1日平均で2万社以上が誕生した計算になる。この旺盛な起業活動が、中国経済の裾野の広さを示している。

AIやNEVなど新興産業が急成長

新興産業分野では、AI、低高度経済 (ドローンや「空飛ぶクルマ」など)、NEVの成長が著しい。AI関連企業は2024年末時点で230万社に達し、同年に新たに55万社が設立された。

低高度経済関連の企業数は2024年に135.6%増と急拡大し、15.7万社に達した。また、NEV関連企業は2024年末時点で107.9万社となり、同年に38.1万社が新設されるなど、産業の急拡大が続いている。

文化観光が内需を牽引

活発な消費は、地域経済の新たな成長の柱となっている。全国の観光関連企業は259.9万社に上り、文化観光産業が地域経済の成長を牽引していることがうかがえる。

特に、黒竜江省ハルビン市が冬季に記録的な観光客を集め、人気が急騰したことは、この傾向を象徴する好例だ。SNSなどを活用した地域振興が消費を刺激し、内需拡大に貢献している。

日本にとっての意味

中国の小規模・零細企業が1.3億社を突破し、特にAIやNEVといった新興産業で急成長していることは、日本企業にとって事業機会とリスクの両面で具体的な影響を及ぼす。

第一に、AI関連企業が2024年末時点で230万社に達し、同年に55万社が新規設立された事実は、日本の技術・部品メーカーにとって新たなサプライチェーン参入の機会となる。中国のAI市場は規模が大きく、日本企業が特定のニッチ分野で優位性を持つ技術を提供できれば、大規模な需要を取り込める可能性がある。例えば、高性能センサーや特殊半導体など、中国企業がまだ自給できていない高付加価値部品の供給が考えられる。

第二に、NEV関連企業が2024年末時点で107.9万社に達し、38.1万社が新設されたことは、日本の自動車部品メーカーにとって厳しい競争環境を意味する。中国のNEV産業は急速に垂直統合を進めており、現地調達率を高める傾向にあるため、既存のサプライチェーンに依存するだけでは市場から排除されるリスクがある。むしろ、中国のNEVメーカーがグローバル展開する際に必要となる、軽量化素材や次世代バッテリー技術など、日本が強みを持つ分野での共同開発や合弁事業を模索すべきだ。

第三に、黒竜江省ハルビン市のような地域観光の成功は、日本の地方自治体や観光関連企業にとって、中国のSNSを活用したプロモーション戦略のヒントとなる。中国の小規模企業がデジタルマーケティングを駆使して内需を喚起している事例から学び、日本の地域資源を中国市場に効果的にアピールする新たな手法を開発する機会がある。