中国政府は4月9日、電気自動車(EV)向け車載電池と蓄電業界の過当競争を是正するため、関係4省庁による合同会議を開いた。過剰生産を背景とした価格競争が業界の発展を阻害しているとし、生産能力の調整や品質監督の強化に乗り出す方針だ。

背景に過剰生産、政府は「消耗戦」と危機感

会議では、車載電池業界における過当競争の深刻さが指摘された。過剰な生産能力を背景とした激しい価格競争や不当な値引きが横行し、製品の品質低下を招いている。中国政府は、この状況が業界全体の持続的な発展を阻害する、いわゆる「消耗戦」であると分析。その是正を最優先課題の一つと位置づけている。

生産能力の調整や価格監視など具体策を検討

政府は今後、工業情報化部や国家発展改革委員会など省庁間の連携を強化し、規制を具体化する。具体策として、生産能力の需給予測と調整、不合理な価格競争の抑制、製品品質の監督強化、知的財産権侵害の取り締まりなどが挙げられた。地方政府による過度な投資誘致も監督し、産業全体の質の高い発展を目指す方針だ。

CATLなど大手16社も参加、自主規制を推進

今回の会議には、業界団体である中国汽車車載電池産業創新連盟のほか、CATLBYDなど主な車載電池・蓄電池メーカー16社の代表者も出席した。中国メディアによると、これらの企業や団体は政府の方針に基づき、不合理な競争行為をまとめた「ネガティブリスト」の策定などを通じて、業界の自主規制を推進する役割を担う。

日本企業への示唆

中国政府による車載電池の過当競争是正は、日本企業にとって直接的な影響を及ぼす。まず、CATLBYDを含む大手16社が自主規制に乗り出すことで、中国市場における価格競争が一時的に緩和される可能性がある。これは、日本のパナソニックやGSユアサといった電池メーカーが、品質や技術力で差別化を図る機会となり得る。特に、中国メーカーが採算度外視の価格攻勢を抑制すれば、日本企業が供給する高付加価値製品の競争力が高まる。

次に、中国政府が「生産能力の需給予測と調整」を強化する方針は、日本のサプライチェーンにも影響を及ぼす。中国が過剰生産を抑制すれば、電池材料や製造装置を供給する日本の企業は、需要変動のリスクを軽減できる可能性がある。例えば、リチウムやコバルトなどの希少金属の価格安定化にも寄与し、調達コストの予測可能性が高まる。

しかし、一方で「不合理な価格競争の抑制」が、中国政府による価格統制に発展するリスクも考慮すべきだ。中国市場で事業を展開する日本企業は、政府の意向に沿った価格設定を強いられる可能性があり、利益率に影響が出る恐れがある。また、地方政府による過度な投資誘致の監督強化は、新規参入や事業拡大を検討する日本企業にとって、これまで享受してきた優遇措置が縮小する可能性も示唆する。これらの動向は、日本企業が中国市場戦略を再考する契機となるだろう。