中国国家郵政局によると、2024年1月から11月までの中国国内における宅配便の取扱量が1807億4000万個に達し、前年同期比で14.9%増加した。同期間の事業収入も1兆3550億6000万元(約28兆円)に上り、同7.1%増と市場の堅調な成長が続いている。

自動化と無人化で配送効率を向上

中国の宅配便業界は、技術革新を積極的に取り入れ、業務効率の向上を急いでいる。各社は自動化された仕分けシステムや搬送ロボットを大規模に導入し、人手に頼っていた工程を大幅に削減した。これにより、膨大な量の荷物を迅速かつ正確に処理する能力が向上している。

さらに、ラストワンマイル配送ではドローン(無人機(ドローン))や自動運転車を活用した実証実験から実用化へと移行する事例も増えている。山間部や離島など、アクセスが困難な地域への配送を効率化し、配達の迅速化を実現していると新華社通信は伝えた。

農村部の産地直送を支援、経済振興に貢献

宅配便ネットワークの拡大は、都市部だけでなく農村部の経済にも大きな影響を与えている。従来、販路が限られていた農村部の生産者が、ECプラットフォームと宅配便網を活用し、農産物や特産品を都市部の消費者へ直接販売する「産地直送」モデルが定着した。

これにより、中間マージンが削減され生産者の収入向上につながるだけでなく、消費者は新鮮な商品を安価に入手できるようになった。宅配便インフラは、農村部の経済振興と所得格差の是正に貢献する重要な社会基盤となっている。

日本の関連性

中国宅配便市場の急成長は、日本企業にとって二つの明確な機会と一つのリスクをもたらす。まず、1807億4000万個という圧倒的な取扱量と14.9%の成長率は、中国消費市場の活況とEC利用の浸透を裏付ける。これは、日本製品、特に食品や日用品を扱う企業にとって、ECプラットフォームを通じた販売拡大の好機となる。例えば、日本の高品質な農産物や加工食品を「産地直送」モデルで中国の消費者に直接届けることで、中間コストを削減し、収益性を高めることが可能だ。

次に、自動化された仕分けシステムや搬送ロボット、ドローン活用といった物流技術の高度化は、日本企業が中国市場で競争力を維持・向上させる上で、物流パートナー選定の重要性を高める。ヤマト運輸や佐川急便のような日本の物流大手は、中国の技術進化を注視し、提携や技術導入を通じて、中国国内での配送効率向上を図る必要がある。これにより、日本からの越境ECにおける配送リードタイム短縮やコスト削減が実現し、消費者への訴求力が高まる。

一方で、中国国内の物流インフラが高度化し、農村部からの産地直送が拡大するにつれて、中国製品の競争力が増すリスクがある。特に、新鮮さや価格競争力で中国の農産物が優位に立つ可能性があり、日本の農産物輸出は品質やブランド力といった付加価値での差別化を一層強化する必要がある。