中国政府は、次期「第15次五カ年計画」(2026〜2030年)において、グリーン経済への転換を国家戦略の柱に拠える方針だ。環境保護と経済成長の両立を目指し、経済社会全体の脱炭素化を推進する。計画では、脱炭素・排出削減や生態環境保護など5分野で新たな指標を設定し、18の重点プロジェクトを始動させる見通しだ。

2025年までの具体的な目標

中国は2025年までに、国内総生産(GDP)単位当たりの二酸化炭素(CO2)排出量を5.0%削減する目標を掲げている。また、地級市以上の都市において大気の質が良好な日の割合を89.3%に引き上げ、社会全体の電力消費量に占めるグリーン電力の比率を40%近くまで高めることを目指す。

これらの目標達成に向け、カーボンピークアウト(炭素排出量のピークアウト)とカーボンニュートラル(炭素中立)の実現に向けた具体的な施策が盛り込まれる見込みだ。

世界のグリーン市場への影響

中国のグリーン戦略は、世界市場にも大きな影響を与えている。新華社通信によると、中国はすでに世界の風力発電設備の70%、太陽光発電設備の80%を供給しており、環境配慮型の低炭素製品を世界各国に提供している。

特に太陽光発電、風力発電、新エネルギー車(NEV)とその関連産業である車載電池などの分野で、中国企業の国際競争力は急速に高まっている。この動きは、世界の気候変動対策に貢献する一方で、各国の関連産業に競争圧力をもたらしている。

日本への影響と今後の展望

中国が第15次五カ年計画でグリーン経済を推進する方針は、日本企業にとって事業環境の変革を迫る。まず、中国がGDP単位のCO2排出量を5.0%削減する目標を掲げ、グリーン電力比率を40%近くまで高めようとしている点は、中国市場で事業を展開する日本企業に対し、サプライチェーン全体の脱炭素化を加速させる圧力を強める。例えば、製造業における電力調達で再生可能エネルギーへの転換を求められる可能性があり、対応が遅れれば競争劣勢に陥るリスクがある。

次に、中国が世界の風力発電設備の70%、太陽光発電設備の80%を供給し、NEVや車載電池分野で国際競争力を高めている事実は、日本の重電メーカーや自動車部品メーカーにとって脅威であると同時に、新たな協業の機会も生む。中国の巨大なグリーン市場は、日本の高効率な省エネ技術や環境負荷低減技術の需要を喚起する可能性がある。例えば、中国の18の重点プロジェクトにおいて、日本の先進的な水処理技術や廃棄物処理技術が採用される余地を探るべきだ。

最後に、中国が環境配慮型の低炭素製品を世界各国に提供する動きは、日本の輸出産業、特に競合分野において価格競争の激化を招く。しかし、これは同時に、日本が強みを持つ高付加価値な環境技術やサービス、例えば水素関連技術や次世代蓄電池技術といった分野で、中国との差別化を図り、新たな市場を開拓する好機ともなり得る。日本の技術優位性を活かしたニッチ市場の開拓や、中国企業との戦略的提携を検討すべき時期に来ている。