中国の白物家電大手、格力電器(Gree)、ハイアール(Haier)智家の業績に明暗が分かれている。Gree(格力電器)は2024年通期で減収減益に陥った一方、ハイアール(Haier)智家は売上高3,000億元を突破したものの、2025年第1四半期に急失速した。国内市場の縮小を背景に、エアコンに依存するGree(格力電器)と、海外・高価格帯で展開するハイアール(Haier)智家の対照的な戦略が今後の経営を左右する。
Gree、減収減益も高配当で株価を下支え
Gree(格力電器)が発表した2024年通期決算は、売上高が前期比9.89%減の1,704億4,700万元(約3兆5,800億円)、純利益も同9.89%減の290億300万元(約6,100億円)と、そろって落ち込んだ。売上高は2021年以来の低水準となった。市場調査会社AVC(奥維雲網)の調査によると、2024年の中国家電小売市場は全体で4.3%縮小しており、業界全体が厳しい圧力にさらされている。
業績悪化の一方で、同社は1株あたり2元(10株あたり20元)という手厚い配当案を発表。配当利回りは5%を超え、これが好感されて決算発表の翌日には株価が5.85%上昇した。
ハイアール、24年通期は増収も2025年第1四半期に急減速
一方、ライバルのハイアール(Haier)智家(ハイアール)は、2024年通期で売上高が前期比5.71%増の3,023億4,700万元(約6兆3,500億円)となり、初めて3,000億元の大台を突破した。特に海外事業が好調で、売上高は8.15%増の1,545億4,500万元に達し、初めて全体の50%を超えた。高価格帯ブランド「カサルテ(Casarte)」も、冷蔵庫や洗濯機の高級品市場で7割以上という圧倒的なシェアを握る。
しかし、そのハイアール(Haier)智家も2025年第1四半期決算では、売上高が前年同期比6.86%減、純利益は同15.22%減と急ブレーキがかかった。多くの証券会社は投資判断を「買い」で維持したものの、利益予測を下方修正しており、先行きへの懸念が広がっている。
Greeの課題:エアコン依存と多角化の遅れ
Gree(格力電器)の苦戦は、その事業構造に起因する。同社の強みは「製品3割、設置7割」といわれるエアコン事業であり、長年のブランド力と販売網を武器に国内市場でトップシェアを維持してきた。その結果、事業全体の粗利率は35%を超え、エアコン事業単独の利益でハイアール(Haier)智家グループ全体の利益を上回るほどの高収益体質を誇る。
しかし、そのエアコン事業への依存が、市場が飽和し成長が頭打ちになる中で、かえって経営の足かせとなっている。近年、同社の売上高に占めるエアコンの比率は高止まりしており、多角化が思うように進んでいない。リスクを分散させる「第二の収益の柱」を育てられず、市場縮小の衝撃を直接受ける脆弱な構造が浮き彫りになった。
まとめ:日本への示唆
Greeの減収減益、ハイアールの急失速は、日本企業にとって中国市場の構造変化への適応を迫る。特に、Greeがエアコン依存から脱却できず、売上高が前期比9.89%減となった事実は、特定の製品分野に強みを持つ日本企業が中国市場で直面しうるリスクを示唆する。例えば、中国の家電市場で一定のシェアを持つパナソニックやシャープは、Gree同様に特定の製品ラインナップへの依存度が高い場合、市場全体の縮小や消費者の嗜好変化に脆弱となる可能性がある。
一方、ハイアールが2024年通期で売上高3,000億元を突破し、特に海外事業が8.15%増と好調だった点は、日本企業が中国企業と連携する際の機会を提示する。ハイアールの高価格帯ブランド「カサルテ」が冷蔵庫や洗濯機の高級品市場で7割以上のシェアを握っていることから、日本の高付加価値部品メーカーやデザイン企業は、ハイアールのような中国大手企業との協業を通じて、中国国内の富裕層向け市場や海外市場への販路拡大を図れる可能性がある。
しかし、ハイアールも2025年第1四半期に売上高6.86%減、純利益15.22%減と急ブレーキがかかったことは、中国市場の変動性の高さを改めて浮き彫りにする。日本企業は、中国企業との協業においても、短期的な業績変動リスクを考慮し、サプライチェーンの多角化や技術提携の深度化など、より強固な関係構築を模索する必要がある。