2025年に向けた中国のベンチャーキャピタル(VC)投資の地理的構造が大きく変化している。投資は江蘇省や広東省など5つの省・直轄市に集中する一方、北京や上海といった従来の中心都市のシェアは低下。代わりに蘇州や杭州など長江デルタ地域の都市が新たな投資の受け皿として台頭している。
VC投資、5省・市に7割が集中
中国の未公開株市場への投資は、地理的な集中がより鮮明になっている。ある調査によると、江蘇省、広東省、北京市、上海市、浙江省の5省・市だけで、全国の投資案件の73%を占める見通しだ。これは、全国34の省級行政区のうち、わずか5地域がベンチャーキャピタル資金の約4分の3を吸収していることを示している。
この集中化は、地域の産業基盤や政策、人材の集積度を反映したものだ。特に先端技術や製造業に強みを持つ地域に資金が流入する傾向が強まっている。
北京・上海のシェア低下、長江デルタが台頭
かつてVC投資を牽引してきた主に都市の地位には変化が見られる。北京、上海、深圳の3大都市が占める投資案件の合計シェアは、2021年の50.8%から、2025年には37.7%まで低下すると予測されている。
対照的に、長江デルタ地域に位置する蘇州、合肥、南京といった都市が投資先として存在感を増している。これらの都市は、半導体や新エネルギー車(NEV)、バイオテクノロジーなどの戦略的産業クラスターを形成しており、これまでの主に都市に次ぐ「第2グループ」として新たな投資ハブになりつつあると、新華社通信は伝えている。
日本企業への示唆
中国VC投資の地理的変化は、日本企業にとって新たな機会とリスクを生む。まず、北京・上海・深圳のシェアが2021年の50.8%から2025年には37.7%に低下する予測は、これら大都市に集中してきた日本企業のビジネス戦略の見直しを促す。特に、長江デルタ地域の蘇州や合肥といった「第2グループ」都市が新エネルギー車(NEV)やバイオテクノロジーといった戦略産業のハブとして台頭している点は重要だ。これらの都市は、サプライチェーン再編や新たな共同開発パートナー探しにおいて、従来の主要都市では見つけられなかった可能性を秘めている。
次に、江蘇省、広東省、北京市、上海市、浙江省の5省・市で全国の投資案件の73%を占めるという集中は、日本企業が中国市場で事業展開する上で、限られた地域での競争激化を意味する。特に、これらの地域で先端技術や製造業への資金流入が加速しているため、日本企業は技術優位性やコスト競争力で差別化を図る必要性が高まる。
最後に、NEVやバイオテクノロジーといった特定の産業クラスターへの投資集中は、これらの分野で強みを持つ日本企業にとって中国市場への参入障壁が相対的に低くなる可能性がある。例えば、NEV関連部品や素材を提供する日本企業は、蘇州や合肥のクラスターに直接アプローチすることで、新たな販路開拓や技術提携の機会を創出できるだろう。一方で、これらの分野で中国企業との競争が激化することも考慮する必要がある。