中国の著名な投資会社である中科創星が、AIスタートアップのZhipu AI(智譜)AI(Zhipu AI)をいかにして早期に発掘したか、その経緯が明らかになった。同社は2018年の時点で次世代AIの波が自然言語処理にあると予測し、まだ注目されていなかった同社への投資を主導した。chinapost.jpが伝えた。

次世代AIの波を予測

2015年頃、囲碁AI「AlphaGo」の登場が火付け役となり、中国ではセンスタイムSenseTime(商湯)科学技術)やメグビーMegvii(曠視)科学技術)など「AI四小竜」と呼ばれるスタートアップ企業群が台頭した。当時、AI投資の主流は自動運転やコンピュータービジョン(CV)技術であり、中科創星はあえてこの分野への大規模な投資を見送ったという。

2018年、中科創星はAI産業の将来動向に関する調査を実施。その結果、CV技術の次に大きな波となるのは、自然言語処理(NLP)やナレッジグラフといった技術分野であると結論付けた。この予測に基づき、同社の投資チームは学術界で投資先候補の探索を開始した。

Zhipu AI(智譜)AIの発掘と先進的投資

探索の過程で、チームは清華大学発の技術チームであるZhipu AI(智譜)AIを発見した。Zhipu AI(智譜)AIは2020年から大規模言語モデル(LLM)の開発に着手していたが、当時はその取り組みが先進的すぎたため、その重要性は投資家の間で広く理解されていなかった。

しかし、2021年にOpenAIが「GPT-3.5」を発表し、ChatGPTが世界的な注目を集めると、資本市場の空気は一変。Zhipu AI(智譜)AIが進めてきた研究開発の価値がようやく認識され、同社は中国を代表するAI企業へと急成長を遂げた。中科創星の先見性が証明された形だ。

日本市場への影響

中科創星がZhipu AIを早期発掘した事例は、中国におけるAI投資の独自性と日本企業への具体的な示唆を与える。まず、中科創星が2018年時点でCV技術主流の中、あえてNLP分野に注力した戦略は、中国の投資家が政府の産業政策と独立して、独自の技術トレンド予測に基づきリスクを取る姿勢を示している。これは、日本企業が中国の技術動向を評価する際、政府主導の「AI四小竜」のような分かりやすい成功事例だけでなく、水面下の学術連携やニッチな技術分野にも目を向ける必要性を示唆する。

次に、Zhipu AIが2020年からLLM開発に着手していたにもかかわらず、2021年のGPT-3.5発表までその価値が広く認識されなかった事実は、中国のAI技術が国際的な評価軸とは異なる時間軸で進化している可能性を示唆する。日本企業が中国のAI技術を評価する際、国際的なトレンドに沿った技術だけでなく、まだ「未熟」と見なされがちな、しかし潜在的にブレイクスルーを秘めた技術への投資や連携の機会を逸しないよう、より長期的な視点での評価が求められる。

最後に、清華大学発のZhipu AIを中科創星が発掘したことは、中国における「産学連携」が単なる技術移転にとどまらず、投資家が学術界の深い部分にまで入り込み、将来の技術トレンドを予測し、有望な研究チームを早期に支援するエコシステムが機能していることを示す。日本企業は、中国の大学や研究機関との連携を強化する際、単なる共同研究だけでなく、投資を通じた長期的なパートナーシップ構築も視野に入れるべきである。