春節(旧正月)前後は、出稼ぎ労働者の移動が集中し、雇用の流動性も高まる時期だ。こうした中、中国の人力資源・社会保障省や交通運輸省など11省庁は1月24日、安徽省亳州市で2024年の「春暖」出稼ぎ労働者支援活動を開始した。全国で多角的な支援を提供している。

全国各地では、チャーター便の専用車両や列車、航空機を手配する移動支援のほか、専門の就職フェア、技能訓練、健康診断なども実施している。

生活から権利保護まで6分野で支援

人力資源・社会保障省の担当者である姜浩氏は、国営メディアに対し、この「春暖」支援活動が春節前後の出稼ぎ労働者への支援を強化するものだと説明した。活動の重点は、生活支援、移動、雇用、健康、文化活動、権利保護という6分野でのサービス提供に置かれている。

各地で就職フェア、1000件超の求人も

内モンゴル自治区フフホト市では、1月24日に今年初となる「春風行動」就職フェアが開催され、1000件以上の求人が提供された。この就職フェアでは、通信エンジニアや営業マネージャー、コピーライター、技術職など、多様な職種の求人が集まったと新華社通信は伝えている。

フフホト市人力資源・社会保障局の宝力高局長は、今年も「楽業青城(フフホトでの就業促進)計画」を継続し、雇用創出を促す10プロジェクトの施策を講じると述べた。若手起業家への支援も強化し、事業化を後押しするサービスも提供するという。

まとめ:日本への示唆

中国政府が11省庁を動員し、春節時の出稼ぎ労働者支援を強化する「春暖」活動は、日本企業にとって二つの具体的な影響をもたらす。第一に、中国国内の労働力流動性が高まり、特に内モンゴル自治区フフホト市で1000件以上の求人が提供されたように、地方都市での人材確保競争が激化する可能性がある。これは、中国内陸部に生産拠点を置く日系製造業にとって、熟練工や若年労働者の定着が難しくなるリスクを意味する。賃金上昇圧力や、人材流出による生産ラインの不安定化に直面する可能性がある。

第二に、中国政府が「春風行動」を通じて通信エンジニアや営業マネージャー、コピーライターといった多様な職種の求人を積極的に支援している点は、日本企業が中国市場で事業を展開する上での機会となる。特に、中国市場向けにローカライズされたコンテンツ制作やデジタルマーケティングを強化したい日本企業は、現地で専門性の高い人材を確保しやすくなる可能性がある。例えば、中国のSNSプラットフォームを活用したプロモーションにおいて、現地市場のトレンドを把握したコピーライターの採用が容易になることで、より効果的なマーケティング戦略を展開できる。

しかし、同時に、中国政府が若手起業家への支援を強化する「楽業青城」計画のような施策は、中国国内企業の競争力を高め、日本企業が中国市場で優位性を保つことを難しくする可能性も孕んでいる。日本企業は、中国政府の労働政策や産業政策の動向を注視し、現地市場の変化に合わせた柔軟な人材戦略と事業戦略を構築する必要がある。