中国の炭酸リチウム市場で、先物価格が乱高下している。1月26日、主力限月は1日で13%を超える値動きを見せるなど、不安定な状況が続く。一方で、中長期的には鉱山開発の進展により、需給バランスは改善に向かうとの見方が広がっている。
先物市場、ジェットコースター相場に
1月26日の中国の先物市場で、炭酸リチウムの主力限月は「ジェットコースター」のような相場展開となった。前場では一時6.84%の大幅高を記録したが、後場に入ると売りが優勢となり、最終的に6.56%安で取引を終えた。同日の値幅は13%を超える激しい動きだった。
鉱山開発の進展で需給は改善へ
短期的な価格変動とは裏腹に、業界関係者は2026年に向けて炭酸リチウム市場の需給バランスが改善するとの見方を示している。中国メディアによると、足元では寧徳時代 (CATL) の梘下窩リチウム鉱山や国軒高科 (Gotion High-tech) の水南鉱山が、新たな採掘許可証の取得を待つ段階にある。これらの開発が進めば、供給量の増加が見込まれる。ただし、リチウムスラグなど固体廃棄物の処理問題が、生産能力拡大の制約要因となっている。
2026年には再び需給逼迫の観測も
中長期的には、2026年ごろに炭酸リチウム市場は再び需給が逼迫する状態に戻るとの観測も浮上している。大手リチウム企業は、新エネルギー車 (NEV) に搭載される車載電池向けの需要拡大に楽観的で、これが将来の炭酸リチウム需要を押し上げる主な要因と見られている。最近では、リチウム生産が盛んな江西省宜春市にある8つの主に鉱山の内2つが許可証更新の進捗を発表しており、供給動向を左右するとしてその行方が注目されている。
日本市場への影響
中国炭酸リチウム先物の乱高下は、日本のEV関連産業に直接的な影響を及ぼす。まず、車載電池メーカーは、CATLやGotion High-techといった中国大手からのリチウム調達価格変動リスクに直面する。1月26日に主力限月が13%超の値動きを見せたように、短期的な価格変動は部材コストの予測を困難にし、収益性を圧迫する可能性がある。日本の電池メーカーは、リチウム調達戦略において、スポット市場への依存度を下げ、長期契約や複数サプライヤーからの調達を強化する必要がある。
次に、2026年の需給均衡、そしてその後の逼迫観測は、日本のEVメーカーの生産計画に影響を及ぼす。リチウム価格の安定はEVコストの安定に直結するため、日本の自動車メーカーは、サプライチェーンの強靭化を急ぐべきだ。特に、CATLやGotion High-techが新たな採掘許可証取得を待つ状況は、供給増加の確実性を担保するものではない。リチウムスラグ処理問題など、環境規制強化が生産能力拡大の制約となる可能性も考慮し、リサイクル技術への投資や、全固体電池などリチウム使用量を削減する次世代技術へのシフトを加速させるべきである。
最後に、中国国内の鉱山開発動向、特に江西省宜春市の鉱山許可証更新の進捗は、日本の商社や素材メーカーにとって新たなビジネス機会となり得る。リチウム精製技術や環境負荷低減技術を持つ日本企業は、中国のリチウム生産企業との協業を通じて、サプライチェーンへの関与を深めることができる。これは、単なる調達先の多様化だけでなく、新たな技術輸出や共同開発の道を開く可能性を秘めている。