中国の国有石油大手、中国石油(ペトロチャイナ)天然気集団(ペトロチャイナ)は、旧正月「春節」の特別輸送期間「春運」に合わせ、全国のガソリンスタンド(サービスステーション、SS)で大規模なキャンペーンを展開している。食事の無料提供や文化体験、EV(電気自動車)向けの充電サービスなどを通じ、給油拠点から地域サービス拠点への転換を図る。

食事提供から文化体験まで、SSの多機能化を推進

ペトロチャイナは「心温まる帰省の道、給油で新年の祝いを」をテーマに、各地のSSをサービス拠点と位置づけている。広東省の販売子会社は、14年続く社会貢献活動の一環として、省内630カ所のSSで温かい飲み物や食事、休憩スペースを提供。帰省者向けに2万6000食の食事を無料で配布した。浙江省の子会社も「運転手の家」といった既存のサービスを拡充し、利用者がくつろげる空間を創出している。

また、地域の特色を生かした文化体験も提供する。河南省洛陽市のSSでは漢服の試着体験を、安陽市のSSでは案内係が地域の歴史を紹介するなど、給油以外の付加価値を高めている。中国メディアによると、漯河市のSSでは地域の特産品を遠隔地へ発送できるサービスも実施したという。

デジタル化とEV充電網の整備を加速

サービスの利便性向上に向け、デジタル技術の活用も進める。四川省の販売子会社は、オンラインでのルート案内や決済、電子レシート発行を推進。給油から決済までをワンストップで処理できる優先レーンも開設した。

さらに、EVの普及に対応し、充電ネットワークの整備も急ぐ。これにより、EVなど新エネルギー車利用者の大きな課題である航続距離への不安(レンジアングザイティ)の解消を目指す。同社は期間中、大規模な安全点検も実施し、インフラの安全確保にも注力している。

まとめ:日本への示唆

ペトロチャイナが旧正月に展開したSS多機能化キャンペーンは、日本のエネルギー企業にとって事業再編の具体的な方向性を示す。第一に、SSの地域サービス拠点化は、単なる給油所から「生活インフラのハブ」への転換を意味する。広東省のSSで2万6000食の食事を無料配布した事例は、顧客接点強化を通じた新規事業機会の創出を示唆する。例えば、人口減少が進む地方において、日本のSSがコンビニエンスストアや高齢者向け配食サービス、さらには地域住民の交流拠点としての役割を担うことで、収益源の多角化と地域貢献を両立できる可能性がある。

第二に、EV充電網の整備とデジタル化の加速は、日本の石油元売り各社が直面する脱炭素化とEVシフトへの対応を具体化する。ペトロチャイナがEVユーザーの「航続距離への不安」解消を目指すように、日本のSSも給油だけでなく、急速充電器の設置や、オンラインでの充電予約・決済システム導入を急ぐべきである。これにより、既存の顧客基盤をEVユーザーにも拡大し、将来的な収益の柱を確立できる。

第三に、河南省洛陽市のSSで漢服の試着体験を提供したように、地域文化との融合は、顧客エンゲージメントを高める有効な手段となる。これは、日本のSSが地域の特産品販売や観光情報発信、あるいは災害時の避難場所提供など、地域密着型のサービスを展開することで、顧客ロイヤルティを向上させ、競争優位性を築くヒントとなる。これらの具体的な事例から、日本のエネルギー企業は、SSの役割を再定義し、多角的な事業展開を加速させるべきである。