2025年の中国の養豚市場は、価格の低迷により業界全体が深刻な損失に見舞われている。温氏食品集団(Wens Foodstuff Group)や牧原食品(Muyuan Foods)といった大手上場企業も赤字を報告しており、供給過剰の状態は当面続くとみられる。

業界全体が深刻な赤字に

中国の大手養豚企業が2025年末に発表した販売データによると、肥育豚の販売価格と売上高が前年比で軒並み減少したことが判明した。温氏食品集団、牧原食品、天康生物(Ticom Tech)などの主に企業がそろって苦境に立たされている。

調査会社、卓創資訊のデータによると、2025年における中国の赤身型肥育豚の全国平均価格は1kgあたり13.74元で、前年比で17.97%も下落した。上海鋼聯のアナリストは、2026年1月に価格は小幅に回復したものの、依然として養豚業者の多くが赤字経営を強いられていると指摘している。

供給過剰は2026年後半に改善か

市場の先行きについて、業界アナリストは2026年上半期も供給過剰の圧力が続くと予測している。生産能力の調整が進むことで、第3四半期以降に市況が改善に向かう可能性があるとの見方だ。

ただし、2026年通年の平均価格が2025年を大幅に上回る可能性は低いとみられている。需要の回復ペースが緩やかである一方、依然として生産能力が高い水準にあるため、本格的な価格回復には時間がかかるとの見方が大勢を占める。

日本にとっての意味

中国養豚市場の深刻な不振は、日本の食品産業、特に食肉加工業者や外食産業に直接的な影響を及ぼす可能性がある。中国国内での豚肉価格が2025年に1kgあたり13.74元と前年比17.97%も下落したことは、中国からの豚肉製品輸入価格の低下圧力となり、日本国内の豚肉製品の価格競争激化を招くリスクがある。日本の食肉加工企業は、安価な中国産豚肉の流入により国内産豚肉との価格差が拡大し、製品戦略の見直しを迫られるかもしれない。

一方で、この状況は日本企業に新たな機会も提供する。例えば、Wens Foodstuff GroupやMuyuan Foodsといった中国大手養豚企業が赤字に陥っている現状は、中国における豚肉生産の効率化や品質向上へのニーズを高める。日本の飼料メーカーや畜産技術関連企業は、中国の養豚企業に対し、生産コスト削減や疾病対策に資する技術や製品を提案することで、新たなビジネスチャンスを創出できる。特に、Ticom Techのような技術系企業が苦境に立たされている中で、日本のAIを活用した飼育管理システムや環境制御技術は、中国市場での競争優位性を確立する可能性を秘めている。

さらに、中国国内の豚肉消費が回復しない場合、中国政府が豚肉の輸出を促進する政策を打ち出す可能性も考えられる。その際、日本市場がその受け皿の一つとなることで、日本の消費者にとっては豚肉製品の選択肢が増え、価格メリットを享受できるかもしれない。しかし、同時にこれは国内の畜産農家にとってはさらなる競争圧力となり、政府による国内産業保護策の検討が喫緊の課題となるだろう。