春節(旧正月)連休明けの中国のスチレンモノマー市場は、供給が逼迫する一方、需要の先行きには不透明感が漂う状況となっている。CITIC先物(CITIC(中信)先物)によると、2024年に入ってから輸出契約が好調で、在庫の積み増しが抑制されている。
低水準で推移する港湾在庫
中国のエネルギー情報会社、Longzhong Information(隆衆資訊)のデータによると、春節連休明けの華東地域の港におけるスチレン在庫は15.81万トンと、近年では低水準で推移している。CITIC先物のアナリスト、尹伊君氏は、2024年1月から2月にかけて輸出契約が相次いだことで、在庫の積み増し幅が大幅に縮小したと指摘する。
定期修理が供給増を抑制か
現在、国内のスチレン生産プラントの稼働率は春節連休中に回復基調にある。尹氏によると、2024年2月には3基のスチレンプラントが計画通り再稼働し、稼働率は1月末比で約5%ポイント上昇した。良好な収益水準から市場では供給がさらに増加するとの懸念もある。しかし、今後、国内プラントの大規模な定期修理が集中しており、再稼働計画にも遅れが出ているため、供給の大幅な増加は見込まれていない。
需給改善への期待と海外要因
今後の市場見通しについて、アナリストの封晓芬氏は、2023年12月下旬以降、スチレン価格の中心レンジは上昇を続けており、プラントの収益も明らかに改善していると分析する。2024年は新規プラントの稼働が少ないため、需給は改善する可能性があるとの見方を示した。海外では、米国やクウェートで近く再稼働を予定するプラントがある一方、サウジアラビア、米国(さらに2基)、ドイツ、オランダ、日本などで3月から4月にかけて定期修理が計画されており、世界的な供給は低下する可能性があると、新華社通信は伝えている。
日本への影響
中国のスチレン市場における供給逼迫は、日本の化学産業に直接的な影響を及ぼす。まず、日本のスチレンモノマー輸入依存度が高い現状を鑑みると、中国市場の価格上昇は国内調達コストを押し上げる。特に、Longzhong Informationのデータが示す華東地域の港湾在庫15.81万トンという低水準は、中国国内需要の回復と輸出契約の好調が続けば、日本企業が中国からスチレンを調達する際の価格交渉力を低下させる。
次に、記事が指摘する中国国内プラントの定期修理集中と再稼働遅延は、日本のスチレン製造各社にとって、中国市場への輸出機会を拡大させる可能性がある。中国の供給不足が長期化すれば、日本のメーカーは高値で製品を供給できるため、収益改善の機会となる。
最後に、CITIC先物のアナリスト尹伊君氏が言及する2024年1月から2月にかけての中国の輸出契約好調は、日本企業が中国向けにスチレンを供給する際の競争激化を示唆する。中国国内の供給不足を補う動きが活発化する中で、日本企業は価格競争力だけでなく、安定供給能力や物流体制の強靭さが問われる。これは、日本企業が中国市場で優位性を保つための新たな課題となる。