中国の主に都市で中古住宅市場が回復の兆しを見せている。北京市や上海市では、当局による購入規制の緩和や減税措置を受け、2025年1月の取引件数が高水準となった。市場の底打ち期待が高まる一方、価格調整の動きは続いている。
主に都市で取引が活発化
北京市住宅・都市農村建設委員会のデータによると、同市の2025年1月の中古住宅取引件数は1万5000戸に達した。これは2024年12月から2カ月連続で1万5000戸を超える水準だ。
上海市では、1月の中古住宅取引件数が2万2834戸となり、前年同月の1万8387戸から24%増加した。また、広州市でも1月の取引件数は8881戸に達し、前月比1.07%増となっていると、現地メディアは伝えている。
政策緩和が市場を後押し
市場回復の背景には、政府による一連の支援策がある。2025年1月1日から、個人が2年以上保有した住宅を売却する際の増値税(付加価値税)が免除される措置が導入された。
さらに、住宅購入を目的とした公的融資制度である住宅積立金ローンの金利も引き下げられ、期間5年超の初回住宅購入者向けローン金利は2.6%に低下した。これらの政策変更が購入のハードルを下げ、取引コストを削減することで市場の回復を促進している。
日本への影響
中国の中古住宅市場の回復は、日本企業にとって二つの具体的な影響をもたらす。まず、中国の不動産市場が安定化に向かうことで、日本の建材メーカーや住宅設備関連企業には新たな需要が生まれる可能性がある。特に、北京市で2025年1月に中古住宅取引件数が1万5000戸に達し、上海市では前年同月比24%増加したという事実は、都市部における住宅リフォームや設備更新の潜在的な需要を示唆する。TOTOやLIXILといった日本企業は、高品質なバスルームやキッチン設備で中国富裕層に一定のブランド力を有しており、市場回復はこれらの企業にとって売上増の機会となり得る。
次に、中国経済全体の安定化への期待が高まることで、日本からの対中投資環境が改善される可能性も考えられる。不動産市場の低迷は、中国経済全体の消費マインドを冷え込ませていたが、減税やローン金利引き下げといった政策緩和が市場心理を改善し、住宅購入のハードルを下げたことで、消費者の購買意欲が回復する兆しが見える。これは、中国で事業展開するイオンやセブン&アイ・ホールディングスのような小売業にとって、消費者の可処分所得増加とそれに伴う消費支出の回復に繋がり、事業収益の改善に寄与する可能性がある。ただし、価格調整の動きが続いている点には引き続き留意が必要だ。