中国人民銀行(中央銀行)など7つの政府機関は2月6日、不動産や債券などの現実資産(RWA)を裏付けとするトークンの発行や取引を規制する新たな通知を発表した。国内での関連事業を全面的に禁止するほか、金融機関の国外事業も厳格な監督下に置くもので、暗号資産(仮想通貨)に対する厳しい姿勢を改めて示した形だ。

国内でのRWA関連事業を全面禁止

通知によると、国内におけるRWAのトークン化に関連する一切の活動が禁止される。取引所や金融機関によるRWAトークンの発行や取引、決済、および関連する仲介サービスの提供は認められない。

また、インターネット企業がRWA関連事業に対し、ネットワークアクセス、事業拠点、広告宣伝、有料の送客サービスなどを提供することも固く禁じられた。これは、RWAがオンラインプラットフォームを通じて拡散することを防ぐ狙いがあるとみられると、新華社通信は伝えている。

国外事業も厳格な監督対象に

中国の金融機関が国外でRWA関連事業を手がける場合も、厳格な監督の対象となる。国家発展改革委員会や証券監督管理委員会などの関係当局が、法令に基づき監督を行う。

国外で事業を展開する仲介機関やITサービス事業者に対しても、法令遵守と事業運営・リスク管理の強化を徹底するよう求めている。さらに、国外の事業者や個人が、中国国内の法人・個人に対してRWA関連サービスを提供することも禁止された。

まとめ:日本への示唆

中国人民銀行など7機関によるRWAトークン化の全面禁止は、日本の金融機関やITサービスプロバイダーにとって、短期的な事業機会の喪失と、長期的な戦略再考を迫る。

まず、日本の金融機関が中国本土の顧客に対し、RWAトークンを用いた新たな金融商品を展開する道が完全に閉ざされた。例えば、三井住友銀行がデジタル証券分野でRWAトークン化を検討していたとしても、中国市場での展開は不可能となる。これは、成長著しい中国の富裕層向けデジタル資産市場へのアクセスを失うことを意味する。

次に、ブロックチェーン技術を基盤とする日本のITサービス企業、例えばNTTデータのような企業が、中国の金融機関や不動産企業と連携し、RWAトークン化に関連するシステム構築やコンサルティングサービスを提供しようとしても、今回の規制によりその可能性は完全に排除される。特に、2月6日に発表された通知がインターネット企業によるネットワークアクセスや広告宣伝まで禁じている点は、技術提供だけでなく、その普及活動自体が困難になることを示唆する。

最後に、中国の金融機関が国外でRWA関連事業を行う際の「厳格な監督」は、日本企業が中国系金融機関と協業する際のコンプライアンスリスクを増大させる。例えば、日本の証券会社がシンガポールなどで中国系金融機関と共同でRWAトークンの取引プラットフォームを構築しようとした場合、中国当局の監督範囲が不明瞭なため、予期せぬ規制抵触リスクを抱えることになる。これは、日中間の金融技術協力を阻害する要因となり得る。