中国人民銀行(中央銀行)や中国証券監督管理委員会など8機関は2月7日、不動産や債券といった現実資産(Real World Asset、RWA)を裏付けとするトークンの発行(トークン化)に関する規制を強化する共同通知を発表しました。暗号資産(仮想通貨)に関連する金融リスクを抑制し、金融システムの安定を維持する狙いです。

国内での発行を禁止、国外は届け出制に

通知では、中国国内におけるRWAトークン化を明確に禁止しました。また、国外で発行される場合でも、国内の資産を裏付けとするものについては、中国証券監督管理委員会への事前の届け出を義務付け、厳格な監督下に置くとしています。

これにより、中国国内の資産が、当局の管理外でデジタル証券化され、国外の暗号資産市場で取引されることを防ぎます。

金融システムの安定を最優先

RWAトークン化は、ブロックチェーンなどの分散型台帳技術を用いて資産の権利をデジタル証券として発行・取引する仕組みです。中国当局は、こうした新たな金融手法が既存の金融システムの安定を損なうリスクをかねてより警戒しており、今回の措置につながったとみられます。

新華社通信によると、当局は金融機関や関連企業に対し、今回の規制を厳格に順守するよう求めています。一連の規制強化は、投機的な資金流入を抑制し、投資家保護を徹底することで、中国金融市場の健全な発展を促すことが目的です。

結論:日本への示唆

中国のRWAトークン化規制強化は、日本企業にとって二つの具体的な影響をもたらします。第一に、中国国内でのRWAトークン発行禁止は、日本の金融機関やブロックチェーン関連企業が、中国の不動産や債券を裏付けとしたデジタル証券化ビジネスに直接参入する機会を閉ざします。例えば、中国の不動産開発プロジェクトへの投資をRWAトークンを通じて行うといったスキームは実現不可能となります。

第二に、国外での発行についても中国証券監督管理委員会への厳格な届け出が義務付けられたことで、日本の企業が中国資産を裏付けとするRWAトークンを海外で発行・流通させる際の法務・コンプライアンスコストが大幅に増加します。特に、中国人民銀行を含む「8機関」が共同で通知を出したことからも、中国当局が金融リスク抑制に極めて強い姿勢で臨んでいることが読み取れます。これにより、日本の証券会社やフィンテック企業が、中国の資産を対象とした新たな金融商品を開発する際には、中国当局の意向を徹底的に把握し、事前承認を得るための時間と費用を考慮に入れる必要があります。

この規制は、中国が既存の金融システム安定を最優先する姿勢の表れであり、日本の金融機関が中国市場で新たなデジタル金融サービスを展開する上での障壁となります。同時に、中国国外のRWAトークン市場、特に日本国内でのRWAトークン化の動きが加速する可能性も示唆しており、日本の金融当局や企業は、自国のRWAトークン化のルールメイキングとビジネス機会創出に注力すべきです。