中国の国家安全部は、空港や鉄道周辺で違法に設置された信号妨害器(ジャマー)が、航空機の安全運航や公共交通に深刻な影響を及ぼしているとして、取り締まりを強化している。一部の事業者などが自己の利益のために設置した装置が、広範囲の無線通信を妨害する事例が報告されている。
航空機の安全を脅かす違法ジャマー
国家安全部によると、近年、一部の個人や事業者が自己の利益を目的として、空港や鉄道の周辺に信号妨害器を違法に設置し、周辺の無線通信を妨害するケースが確認されている。これにより、民間航空機の安全な運航や公共交通に支障をきたす事態となっている。
ある空港では、航空機が航行中に信号を喪失したり、ADS-B(放送型自動従属監視)システムの述べたに異常が生じたりする事案が多発していると、国家安全部に報告があった。このような妨害電波は、航空管制や航法システムに重大な障害を引き起こす危険性がある。
ドローン対策が裏目に、養殖業者が設置
国家安全部が関係部門と合同で調査した結果、妨害電波の発信源が、空港近くにある養殖場だと特定された。この養殖場は、競合他社がドローンを使って養殖池に病原体を散布する妨害行為を防ぐ目的で、強力な妨害装置を無許可で購入・設置していたという。
この装置が意図せず、空港の航空無線にまで影響を及ぼしていた。中国国家安全部の発表によると、当局はこの養殖場から違法な妨害装置を押収し、関係者を法に基づいて処分した。同時に、ドローンによる妨害行為を行った競合他社の関係者も処罰されたとしている。
取り締まり強化と市民への呼びかけ
国家安全部は、信号妨害装置の無許可での使用は違法であり、公共の安全を著しく損なうとして、絶対に使用しないよう国民に強く呼びかけている。
また、違法な装置の使用を発見した場合は、国家安全部の通報窓口(電話番号: 12339)やオンライン通報プラットフォームを通じて速やかに情報を提供するよう求めている。当局は今後も、公共の安全を脅かす違法な電波利用に対して、監視と取り締まりを強化していく方針だ。
結論:日本への示唆
中国の違法電波妨害器摘発は、日本企業にとってサプライチェーンと航空物流の安定性に関わる直接的なリスクを提示する。まず、中国国内の空港周辺でADS-Bシステムに異常が生じるような事案は、日本から中国への航空貨物輸送や日系企業の出張者の移動に予期せぬ遅延や運航停止をもたらす可能性がある。特に、半導体や精密機械など、ジャストインタイムでの輸送が不可欠な製品を扱う日本企業は、サプライチェーンの寸断リスクを再評価する必要がある。
次に、今回の事例で養殖業者がドローン対策として妨害器を設置したように、中国では「自己防衛」の名目で違法な電波利用が蔓延するリスクが浮上する。これは、中国に進出する日本企業が、工場や研究施設周辺で意図しない電波干渉を受け、自社の無線通信システムやIoT機器が誤作動を起こす可能性を示唆する。例えば、自動化された生産ラインや倉庫管理システムが妨害電波の影響で停止すれば、生産計画に甚大な影響を及ぼす。
最後に、中国国家安全部が市民に通報を呼びかける体制を強化していることは、企業活動におけるコンプライアンスリスクを増大させる。日本企業が中国で事業を展開する際、知らず知らずのうちに、あるいは現地パートナーが関与する形で、こうした違法な電波利用に関わってしまうリスクもゼロではない。日系企業は、現地法規の遵守に加え、サプライヤーやパートナー企業が電波法規を遵守しているか、より厳格なデューデリジェンスを導入する必要がある。