中国の自動車大手、吉利控股集団(ジーリー・ホールディング・グループ、以下「吉利グループ」)は、2023年の世界総販売台数が前年比26%増の411万6,321台となり、過去最高を記録したと発表した。特に新エネルギー車(NEV)が好調で、総販売台数の56%を占めた。
NEV販売が58%増、成長を牽引
2023年における吉利グループのNEV販売台数は、前年比58%増の229万3,099台に達した。この急成長がグループ全体の販売実績を力強く牽引した形だ。
中核企業である吉利汽車(ジーリー)ホールディングス単体で見ても、NEV販売は前年比90%増の168万7,767台と、極めて高い伸びを示した。
傘下ブランドも堅調に推移
グループ傘下のブランドも好調を維持している。スウェーデンのボルボ・カーズの2023年世界販売台数は71万42台で、そのうちNEVは32万3,294台だった。
また、商用車ブランドの遠程汽車(Farizon Auto)は、2023年に16万2,019台を販売し、ブランド設立以来の累計販売台数が50万台を突破した。同社の発表によると、新エネルギー商用車市場での地位を固めている。
2024年の販売目標
吉利グループは、2024年の総販売目標を345万台、うちNEVは222万台に設定した。2023年の実績を下回る目標設定からは、世界的な市場の成長鈍化や競争激化を見拠えた、慎重な事業運営姿勢がうかがえる。
日本への影響と今後の展望
吉利グループの躍進は、日本の自動車産業に複合的な影響をもたらす。まず、NEVが総販売台数の56%を占め、NEV販売が前年比58%増の229万3,099台に達した事実は、中国市場における電動化の加速を明確に示している。これは、日本の自動車メーカーが中国市場でガソリン車中心の戦略を維持した場合、市場シェアをさらに失うリスクを意味する。特に、トヨタやホンダといった日本の大手メーカーは、中国におけるNEVシフトへの対応を急ぐ必要がある。
次に、ボルボ・カーズの堅調な販売実績とFarizon Autoの商用車市場での地位確立は、吉利グループが多様なセグメントで競争力を高めていることを示唆する。これは、日本の自動車部品メーカーにとって、中国メーカーとの取引機会が拡大する可能性を秘める一方、サプライチェーンにおける中国依存度が高まるリスクも内包する。例えば、電動パワートレインやバッテリー関連部品において、吉利グループへの供給機会を探るべきだ。
最後に、2024年の販売目標が2023年の実績を下回る設定である点は、中国自動車市場の競争激化と成長鈍化を示唆している。これは、日本の自動車メーカーが中国市場での過度な投資を再考し、東南アジアやインドなど、他の成長市場へのシフトを加速させる契機となり得る。中国市場での利益率低下リスクを考慮し、事業ポートフォリオの再構築が求められる。