ファーウェイのサーバー事業を前身に持つxFusion(超聚変)が、上海・深圳のA株市場への新規株式公開(IPO)に向けた手続きを完了した。米国の制裁を機にファーウェイから分離後、河南省の国有資本が主導する形で急成長し、企業評価額は910億人民元(約1.8兆円)に達する見込みだ。中国政府が推進する計算能力強化の国家戦略を象徴する大型上場となる。
ファーウェイから分離、国有資本主導で再出発
xFusionは、もともとファーウェイのx86サーバー事業部門だった。2021年、米国の輸出規制強化を受け、ファーウェイはこの事業を完全ににに分離。河南省の国有資産管理会社である豫信電子科学技術集団が設立した受け皿会社が事業を承継した。移管は研究開発チームや技術特許、製品群、顧客基盤を含めて一体的に行われ、事業の継続性が図られた。現在、豫信電子科学技術集団が筆頭株主、通信大手のチャイナモバイル(中国移動)が第2位株主となっており、国家主導で育成する『国家隊』としての性格が強い。
「計算能力」国家戦略を追い風に急成長
xFusionの急成長の背景には、中国政府が掲げる計算能力(コンピューティングパワー)強化の国家戦略がある。政府は「計算能力は国運を左右する」として、AI開発やデータ経済に不可欠なインフラ整備を急いでおり、国内のサーバー市場は急拡大している。この追い風を受け、xFusionの業績は飛躍的に伸びた。売上高は2023年の280億元(約5,600億円)から、2024年には400億元(約8,000億円)を突破し、2025年には600億元(約1兆2,000億円)に達する見込みだ。この成長性に着目し、中国国際金融(CICC)やチャイナテレコム(中国電信)系のファンドなど、30社以上の投資機関が出資している。
評価額1.8兆円、国産サーバーの旗手へ
一連の資金調達を経て、xFusionの企業価値は急騰している。中国メディアの報道やユニコーン企業に関するレポートによると、同社の評価額は910億人民元(約1.8兆円)に達した。IPOが成功すれば、中国中部地域における計算能力関連企業として初の上場となり、河南省が進めるハイテク産業育成の成功例となる。同省は省都・鄭州を中核に、国家レベルの計算能力拠点を構築する計画で、xFusionはその中核を担う。米国の制裁を逆手に取り、国有資本と国内市場を基盤に国産サーバーの旗手として成長したxFusionの動向は、中国の技術自立化を占う試金石となる。
日本への影響と示唆
xFusionのIPOは、日本の半導体・電子部品メーカーにとって、供給網再編と市場機会の両面で直接的な影響をもたらす。まず、同社が「国産サーバーの旗手」として急成長し、2025年には売上高600億元(約1兆2,000億円)に達する見込みであることは、中国国内でのサーバー部品・部材の地産地消が加速する可能性を示唆する。例えば、日本の半導体製造装置メーカーや、サーバー向けコンデンサ、コネクタなどを供給する企業は、中国市場でのシェア維持のため、現地生産や共同開発といった戦略的提携を検討する必要に迫られるだろう。
一方で、xFusionがファーウェイから分離後、米国の制裁下で「国家隊」として育成された経緯は、中国が「計算能力」国家戦略を推進する上で、特定技術分野での国産化を急ぐ姿勢を明確にしている。これは、日本の高性能半導体やAI関連技術を持つ企業にとって、中国市場へのアクセスが制限されるリスクを増大させる。特に、日本のキオクシアやソニーグループなど、中国市場への依存度が高い企業は、サプライチェーンの多角化や、米中双方の規制動向を考慮した製品開発・販売戦略の再構築が喫緊の課題となる。xFusionの成功は、中国が技術自立化をさらに加速させるトリガーとなり、日本企業はこれまで以上に迅速な対応が求められる。
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