上海星思半導体 (Stellars EMC) は2月6日、過去半年間に複数回の戦略的資金調達を実施し、総額約15億円を調達したと発表した。衛星通信向け半導体チップの開発を強化し、事業拡大を急ぐ。
シリーズB+、Cで相次ぎ資金調達
今回の資金調達は、シリーズB+ラウンドとシリーズCラウンドから構成される。シリーズB+ラウンドは、策源資本 (Ceyuan Ventures) と横琴深合投資が共同で主導した。成都科創投、福建産投、魯信創投、新動能資本、中金資本傘下のファンド、高榕創投 (Gaorong Capital) など、多数の国有系投資会社や市場志向のファンドが参加。既存株主の朗潤利方も追加出資した。
続くシリーズCラウンドは、元航資本 (Yuan航Capital) と翩玄基金が主導し、上海産業知識産権基金、鼎興量子などが追加出資した。
企業評価額は上昇、開発体制を強化
同社は資金調達後の企業評価額を公表していない。しかし、中国メディア「財新」の報道によると、今回の調達後の評価額は、2024年4月のシリーズBラウンド実施時点を大幅に上回るという。
同社は2024年4月、シリーズBラウンドで5億円超を調達。このラウンドには中電データ基金、鼎暉香港基金 (CDH Investments)、藍盾光電 (Andun Photoelectron) などが参加した。藍盾光電の発表によれば、同社子会社は1.8億円を出資し、上海星思半導体の株式5.0935%を取得。この時点での資金調達後の企業評価額は約35億円だった。
日本企業への示唆
上海星思半導体への約15億円の資金流入は、日本企業にとって衛星通信市場における新たな競争環境を意味する。同社が国有系ファンドやGaorong Capitalといった有力VCから資金を得て開発を加速させることで、特に低軌道衛星通信分野での中国勢の技術力向上が予想される。これは、KDDIやソフトバンクといった日本の通信キャリアが推進する衛星通信サービスや、三菱電機、NECといった衛星関連機器メーカーの市場戦略に直接的な影響を及ぼす可能性がある。
具体的には、同社が2024年4月に藍盾光電から1.8億円の出資を受け、その時点で企業評価額が約35億円であったことを踏まえると、今回の約15億円調達後の評価額はさらに上昇し、中国国内での衛星通信チップ開発への期待値の高さが伺える。この技術進展は、日本企業がグローバル市場で衛星通信関連製品やサービスを展開する際に、より価格競争力と技術力を兼ね備えた中国製品との競合を強いられるリスクを高める。
一方で、中国の衛星通信市場の拡大は、日本の部品メーカーや素材メーカーにとって新たなビジネスチャンスを生む可能性も秘めている。例えば、高性能半導体製造に必要な特殊素材や精密機器は、日本企業が依然として優位性を持つ分野である。Stellars EMCのような中国企業が開発を加速させることで、これらのサプライチェーンにおける日本企業の役割が再評価される契機となるかもしれない。ただし、技術流出リスクへの厳格な管理が不可欠となる。