中国が、次世代の発電技術とされる超臨界二酸化炭素(CO2)発電の実用化で世界をリードしている。中国核動力研究設計院が開発した同技術は、2025年11月に系統連系試験に成功し、その1ヶ月後に商業運転を開始する見込みだ。これにより、中国は世界で初めて超臨界CO2発電を商業化した国となる。
水を使わない高効率発電
超臨界CO2発電は、従来の蒸気タービンの代わりに、超臨界状態(液体と気体の区別がつかない状態)のCO2を熱媒体として利用し、タービンを回して発電する技術だ。熱交換効率が非常にに高く、従来の蒸気サイクルに比べて発電効率を大幅に向上させることができる。
この技術の大きな特徴は、製鉄所や化学プラントで発生する産業排熱を有効活用できる点にある。また、冷却に水を必要としないため、水資源が乏しい地域でも設置が可能で、廃水の排出もない。環境負荷の低減とエネルギー効率の向上を両立する技術として期待されている。
15年越しの国家プロジェクト
この技術開発は、中国核動力研究設計院の専門家チームが2009年に研究を開始して以来、15年越しで進められてきた。数々の技術的課題を克服し、2019年には小規模な発電実証に成功。この成果を受け、商業化に向けたプロジェクト「超炭素1号」が始動した。
新華社通信によると、「超炭素1号」は2023年末に正式に着工され、2025年11月の系統連系、同年12月の商業運転開始を目標としている。このプロジェクトの成功は、中国のエネルギー構造転換と脱炭素目標の達成に向けた重要な一歩となる。
日本への影響と今後の展望
中国が超臨界CO2発電を世界で初めて商業化することは、日本の産業界に直接的な影響を及ぼす。まず、製鉄所や化学プラントといった日本の主要産業は、これまで排熱利用効率の改善を模索してきたが、中国がこの技術で先行することで、日本の技術開発競争力に劣後リスクが生じる。特に、新日鉄やJFEスチールといった国内大手製鉄会社は、自社の脱炭素戦略において排熱利用を重要な柱と位置付けており、中国の技術動向を注視し、自社の技術開発ロードマップを見直す必要に迫られる。
次に、水資源に乏しい地域でのプラント建設を検討している日本企業にとって、この技術は新たな選択肢を提供する。例えば、中東やアフリカなど、水冷式発電が困難な地域でのインフラプロジェクトにおいて、中国の超臨界CO2発電技術が採用される可能性が高まる。これは、東芝や三菱重工業といった日本の重電メーカーが手掛ける発電プラント輸出において、競争環境が厳しくなることを意味する。
最後に、中国が2025年11月に系統連系試験に成功し、翌月には商業運転を開始する見込みであるという具体的な工程は、日本のエネルギー関連企業にとって、技術導入や提携の機会を検討する上で重要な指標となる。特に、中国核動力研究設計院が15年かけて開発したこの技術の成熟度を鑑みると、日本の企業は、自社でのゼロからの開発よりも、中国企業との技術提携やライセンス供与を通じて、この先進技術を取り込む方が効率的である可能性も視野に入れるべきだ。日本の脱炭素目標達成に向け、中国の技術革新を単なる脅威としてではなく、協業の可能性としても捉える視点が求められる。
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