フィンランドのノキアが、通信インフラ事業を軸に復活を遂げている。2013年に携帯電話事業から撤退後、通信インフラ設備メーカーへ転換。近年は光通信技術がAI(人工知能)データセンター需要の追い風となり、株価は16年ぶりの高値を更新、時価総額は600億ドルを突破した。

AIデータセンター需要が追い風に

ノキアの復活を牽引するのは、AIの普及に伴い需要が急増している光通信技術だ。同社の光ネットワーク事業は前年に19%の成長を記録。AIおよびクラウド関連の顧客は、同社のネットワークインフラストラクチャ部門の売上高の14%を占めるまでになった。

ノキアのCEOは、北米の大手クラウドサービス事業者上位10社のうち、9社が同社の技術を採用していることを明らかにしている。光通信設備の分野で、ノキアは世界第2位の地位を確立しており、中国のファーウェイ(ファーウェイ技術)に次ぐ存在感を示している。

NVIDIAとの提携で6Gも見拠える

ノキアは次世代技術への投資も加速させている。米半導体大手NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、ノキアとの提携を発表。AI技術を活用して無線アクセスネットワーク(RAN)を高度化する「AI-RAN」の革新と、次世代通信規格「6G」への移行を共同で推進する方針だ。この提携は、ノキアの技術力と将来性を示すものとして市場から高く評価されている。

日本への影響

ノキアの光通信技術による復活は、日本企業にとって通信インフラ分野での新たな競争と協調の可能性を提示する。まず、AIデータセンター需要を捉えたノキアの戦略は、日本の通信キャリアやデータセンター事業者にとって、光ネットワークへの投資加速を促す。特に、ノキアの光ネットワーク事業が前年19%成長し、AI・クラウド関連顧客がネットワークインフラストラクチャ部門売上高の14%を占める現状は、高速・大容量通信インフラの確保が日本企業の競争力維持に不可欠であることを示唆する。

次に、ノキアとNVIDIAの6G提携は、次世代通信技術開発における国際連携の重要性を浮き彫りにする。日本のNECや富士通といった通信機器ベンダーは、RAN分野でノキアと競合する一方、AI-RANや6Gといった先端技術領域では、NVIDIAのようなAI半導体大手との協業を模索する必要がある。ノキアが北米大手クラウドサービス事業者上位10社のうち9社に採用されている事実は、日本企業がグローバル市場で存在感を高める上で、特定の技術分野での優位性確立と戦略的パートナーシップ構築が不可欠であることを示唆する。中国のファーウェイが光通信分野でノキアを上回る存在感を持つ中、日本企業が独自の技術優位性をどこに見出し、国際競争力を高めるかが問われる。