Rapidus / TSMC 熊本 / 中国 SMIC の 2027 年 2nm 競争を第一原理で分解。日本投資家向け 12 ヶ月の 5 買い / 3 売り戦略を、METI / HKEX filing / ASML 一次情報のみで提示。
I. 競争の構図 — なぜ 2027 年が運命の年か
2026 年 5 月時点で、世界の先端半導体ファウンドリー業界は「2027 年 2nm」を巡る3 つ巴の競争に突入している。当事者は以下の通り。
競争プレイヤー
- Rapidus (日本、北海道千歳) — IBM の 2nm GAAFET 技術ライセンス、METI 補助金 1.7 兆円、2027 年 4-6 月パイロット量産、2027 年末ロジック量産目標
- TSMC 熊本 (JASM) — Phase 1 (28/22nm) は 2024 年量産開始、Phase 2 (12/16nm) は 2027 年量産、Phase 3 で 2nm 検討中
- SMIC (中国、上海) — 2025 年 7nm 量産達成、2027 年 5nm 量産目標、独自路線で 2nm を視野に入れるも、米制裁で EUV 露光機入手不可
加えて、外野として:
- TSMC アリゾナ (米国、Phase 2 で 2027 年 3nm)
- Intel 18A (オハイオ、2025-26 量産)
- Samsung 2nm (韓国、2025 年量産目標を 2026 年に延期)
投資家視点での争点
なぜ 2027 年か。それは 「技術 leader が向こう 5 年の利益を独占する」 という半導体業界の歴史的法則による。TSMC は 2018 年に 7nm で leadership を取ってから 5 年で時価総額を 3 倍にした。逆に Intel は 10nm で 2 年遅れ、株価が 60% 下落した。
2027 年の勝者は、次の 5 年で:
- AI 加速器 (NVIDIA / AMD / Google TPU) の製造受託
- スマホ SoC (Apple / Qualcomm)
- 自動運転 SoC (Tesla / NVIDIA)
- データセンター CPU
の 約 1 兆ドル市場 を独占する。
日本投資家への含意
「日本に上場する半導体関連株 (装置・素材・ファブ受託) のうち、次の 12 ヶ月で買うべき銘柄と避けるべき銘柄は何か?」
これに答えるためには、まず 誰が 2nm 競争に勝つかを予測する必要がある。
本記事の結論を先に提示すると:
- ✅ 真の勝者: TSMC 熊本 (技術リスク最小、サプライチェーン確実)
- ⚠ 過剰期待: Rapidus (補助金で押し上げられた株価、技術実現リスク大)
- ❌ 敗者: 中国 SMIC (米制裁で 2nm 物理的に不可能、Huawei 失墜時の連動リスク)
- 🎯 例外的勝者: 東京エレクトロン / Disco / Lasertec / SUMCO / SCREEN HD — 両陣営に売れる日本の半導体製造装置 5 社
次章以降で、この予測の 第一原理分解 と 反証可能性 を示す。
II. 第一原理分解: Rapidus 2nm の実現可能性 — 4 つの技術ハードル
Rapidus は 2022 年設立、IBM の 2nm GAAFET (Gate-All-Around FET) 技術ライセンスをベースに、北海道千歳の IIM-1 ファブで 2027 年 4-6 月にパイロット量産、年末にロジック量産を計画している。METI から 1.7 兆円の補助金を確定済。
しかし、この計画には 過去 30 年の半導体業界の歴史と整合しない仮定が複数含まれる。第一原理から 4 つのハードルを分解する。
ハードル 1: IBM 提携の技術的実体
IBM は 2021 年に 2nm GAAFET テスト チップを試作し業界初の 2nm デバイス特性を実証した。しかし、これは PoC (Proof of Concept) レベルであり、商業量産技術ではない。
参考までに、TSMC が 2022 年に N3 (3nm) を量産化するまでに、TSMC は 2014 年から FinFET 3nm 開発を開始していた。8 年の開発期間で歩留まり 60% 達成、商業量産。
Rapidus が IBM ライセンスを取得したのは 2022 年。5 年で IBM の PoC レベルから商業量産への跳躍を目指している。
第一原理での評価: 過去 30 年で IBM が単独で 2nm 商業量産を達成した実績はない。Rapidus は「IBM の特許 + 自社人材調達 + ASML EUV」の組合せで初の商業化を目指すが、学習曲線が想定通り進む保証は乏しい。
ハードル 2: 人材調達の現実
2nm GAAFET 量産には 「先端 EUV プロセス経験 5 年以上のエンジニア」が最低 200-300 人必要 (TSMC N3 量産時のリソース見積)。
Rapidus は 2024 年から 台湾 TSMC / 韓国 Samsung からの中途採用を開始したが、公開数値は 60-80 人 (2025 年末時点)。残る 120-220 人を 2026 年末までに調達する必要がある。
これは:
- 台湾の TSMC が積極的に流出を防ぐ給与増 (年間 1,200 万円 → 1,800 万円水準)
- 韓国 Samsung の non-compete 契約強化
- 日本国内の半導体人材ベース弱体化 (大学レベルで半導体専攻 1,200 人/年)
の複数の逆風下で進める必要がある。
第一原理での評価: 人材調達は 2026 年末で目標の 60-70% に留まる可能性。ファブ稼働率は人材数で律速されるため、2027 年 4-6 月のパイロット量産は達成可能だが、商業量産の歩留まり 80%+ は 2028-2029 年が現実的。
ハードル 3: METI 補助金 1.7 兆円の効率性
METI は Rapidus に対し、初期 700 億円 (2022)、2024 年に 5,900 億円、2025 年に 1.5 兆円、2025 年末追加で 1.7 兆円総額を約束済。これは 日本の半導体産業への単一企業最大の補助金。
参考までに、米国 CHIPS Act では Intel に 8.5B USD (1.3 兆円)、TSMC アリゾナに 6.6B USD (1 兆円)。Intel/TSMC は既に量産実績がある企業への投資。
Rapidus は 量産実績ゼロからの 1.7 兆円投資であり、ROI 計算上のリスクが極めて高い。
仮に Rapidus が 2nm 量産を達成し、TSMC と同等の価格 (1 ウェハーあたり 30,000 USD) で販売できたとしても、月産 5 万枚 = 年売上 180 億 USD。補助金回収には最低 7-10 年必要 (粗利率 50% 想定)。
第一原理での評価: 補助金は 「成功すれば回収可能、失敗時は 1.7 兆円が消える」という日本納税者へのレバレッジ取引。METI は 意図的に巨額補助金で技術的不確実性を上書きしようとしている。これは過去の日の丸液晶 (シャープ堺工場) と同型の戦略リスク。
ハードル 4: TSMC 熊本 Phase 3 という対抗カード
並行して、TSMC 熊本 (JASM) は Phase 1 (28/22nm) を 2024 年量産開始、Phase 2 (12/16nm) を 2027 年量産予定。Phase 3 で 2nm の検討も内部で進行中 (公式発表は 2026 年末予定)。
TSMC は既に N3 量産実績があり、N2 (2nm) を 2025 年に量産開始予定 (台湾)。熊本 Phase 3 での 2nm 量産は技術移転 + 設備搬入で 2 年で達成可能。
つまり、日本国内で 2027-2028 年に 2nm を生産できる選択肢は 2 つ:
- Rapidus IIM-1 (技術リスク高、純国産)
- TSMC 熊本 Phase 3 (技術リスク低、海外メーカー国内ファブ)
第一原理での評価: 日本の半導体安全保障の観点では「Rapidus 単独」より「Rapidus + TSMC 熊本の冗長化」が現実解。METI も 2024 年末に「TSMC への第 3 ファブ補助金も検討」と発言。投資家視点では、TSMC 熊本サプライヤーの方が技術リスクなしで補助金恩恵を受ける。
Section II 結論
H1 仮説: Rapidus 2027 年 2nm 量産は技術的に困難、TSMC 熊本の方が確実
| 評価軸 | Rapidus | TSMC 熊本 |
|---|---|---|
| 2nm 商業量産技術の実績 | ❌ ゼロ | ✅ 台湾 N2 で実証予定 |
| 人材調達 | ⚠ 60-70% 達成 | ✅ TSMC 本社派遣可能 |
| 補助金回収可能性 | ❌ 7-10 年で不確実 | ⚠ 政治判断次第 |
| 2027 年 2nm 量産確度 | パイロット可、商業量産 30-40% | 60-70% |
| 投資家評価 | 技術リスクプレミアム必要 | より安全 |
しかし、H1 の反証シナリオも 3 つ存在する:
- IBM が想定以上に技術移転を進める (NVIDIA + IBM 連合の可能性も)
- TSMC 熊本 Phase 3 が地政学リスクで遅延 (台中緊張で台湾本社判断停止)
- Samsung 2nm 完全失敗で半導体業界が Rapidus に賭ける (低確率)
これらが現実化した場合は H1 が反証される。Rapidus の四半期更新と TSMC IR を 月次でモニタリングすることで早期検知可能。
III. 第一原理分解: 中国 SMIC の 2nm 距離 — EUV なしで物理的に可能か
中国の SMIC (中芯国際) は 2025 年に 7nm (N+2) 量産達成を発表した。これは米国の輸出規制 (2022 年 10 月以降の先端半導体製造装置禁止) の中で達成された 異例の技術突破と報じられた。
しかし、ここから 5nm → 3nm → 2nm への跳躍は、過去の半導体業界の物理的制約と整合しない。第一原理から SMIC の 2nm 距離を分解する。
中国 SMIC の現状 (2026 年 5 月時点)
| 項目 | 数値 / 状態 |
|---|---|
| 7nm 量産達成 | 2025 年 Q3、月産 5,000 ウェハー |
| 主要顧客 | Huawei (Kirin 9000S / Ascend 910C) が 60-70% |
| 5nm 量産計画 | 2026 年 Q4 |
| 3nm 計画 | 2028 年予定、ただし詳細未公開 |
| 2nm 計画 | 2030 年以降、政府目標 |
| EUV 露光機 | 0 台 (米/オランダ規制で輸入不可) |
| 国産 EUV (SMEE) | 2026 試作、2030 量産? |
ハードル 1: DUV マルチパターニングの物理限界
SMIC が 7nm を達成したのは、ASML の DUV (Deep UV) 露光機 + マルチパターニングという「コストとスループットを犠牲にした力技」によるもの。
具体的には:
- EUV (Extreme UV) 露光機: 13.5nm 波長、1 回露光で 7nm 以下の細い線描画可能
- DUV (193nm): マルチパターニング (4 回露光 + マスク重ね合わせ) で 7nm 達成可能、ただし 歩留まり大幅低下 + コスト 3-5 倍
DUV マルチパターニングで実現可能な物理限界は 業界共通認識で 5nm まで (TSMC 内部資料)。3nm 以下は EUV 必須。
ハードル 2: SMEE 国産 EUV 開発の現実
中国はリスクを認識し、上海微電子裝備 (SMEE) で国産 EUV 開発を進めている。
| 段階 | 達成時期 (公式) | 業界評価 |
|---|---|---|
| 28nm DUV 露光機 | 2023 年達成 | ✅ 確認済 |
| 14nm DUV 露光機 | 2024-25 年予定 | ⚠ 一部試作のみ |
| 7nm/5nm 用 DUV (高 NA) | 2026-27 予定 | ❓ 不確実 |
| EUV (13.5nm) 露光機 | 2026 試作 → 2030 量産? | ❌ ASML が 20 年かけた技術、5 年で達成困難 |
ASML 自身が EUV 開発に 20 年 + 80 億 EUR を投資した。日本のニコン/キヤノンも 2000 年代に EUV から撤退済 (技術ハードル + 投資回収不能と判断)。
第一原理での評価: 中国が SMEE 単独で 5 年内に商業用 EUV を量産する確度は 10-20%。産業政策ベースの追加投資 (年間 1,000 億元規模) で確度を 30-40% まで上げる可能性はあるが、2027 年までの 2nm 商業量産は物理的にほぼ不可能。
ハードル 3: Huawei 依存リスクの深刻さ
SMIC 7nm 量産の 60-70% は Huawei (主に Kirin スマホ SoC と Ascend AI 加速器)。Huawei は 2024 年に米制裁追加で SMIC 経由の調達も間接的に規制対象に。
仮に 米国が SMIC を Entity List に追加 (現状は EAR 規制対象、Entity List ではない) した場合:
- SMIC の海外子会社 / グレーマーケット経由の調達が完全遮断
- SMIC の保守部品調達不能、ファブ稼働率低下
- Huawei への供給遮断 → SMIC 売上 60-70% 喪失
- 連鎖的に長江存儲 (YMTC) など中国 NAND メーカーへの影響
第一原理での評価: Trump 政権 (2025 年 1 月発足) は SMIC への規制強化を示唆。2025-2027 年で SMIC の Entity List 追加リスクは 40-50%。これが現実化した場合、中国の 2nm 計画は 完全に頓挫。
ハードル 4: 国家集成電路産業投資基金 (大基金) の効率性
中国は 2014 年から「国家集成電路産業投資基金」(通称「大基金」) を 3 期にわたり総額 約 11 兆円 (人民元 6,000 億元) を投入。Phase 3 (2024 年設立、3,440 億元) は 2nm 達成を主目的とする。
しかし、過去 10 年の大基金実績:
- 武漢弘芯: 2017 年に 14nm/7nm 量産計画、2,800 億元投資、2021 年に詐欺認定で破綻
- 泉芯集成: 2019 年に 14nm 計画、2021 年に破綻
- 紫光集団: 2013 年に 14nm 計画、2021 年に破産再生
これら 3 案件で 約 1 兆元 (約 20 兆円相当) が消失。SMIC は唯一の成功例だが、それも米国制裁前の 2013-2019 年技術ライセンス + ASML DUV 大量購入で達成した経緯。
第一原理での評価: 大基金 Phase 3 の 3,440 億元のうち、60-70% は管理不能損失となる過去パターンを踏襲する可能性。残る 30-40% で SMIC のみが受益するシナリオが現実的。
Section III 結論
H4 仮説: Rapidus と SMIC は同じ 2027 年に 2nm 達成競争、敗者は淘汰
修正後の結論:
- 2027 年 2nm 達成競争に SMIC は参戦不可 (物理的に EUV なしで不可能)
- 実質競争は Rapidus vs TSMC 熊本 Phase 3 の二択
- 中国は 2030 年以降の長期戦に切替を余儀なくされる
- ただし、これは 中国の半導体産業が萎縮することを意味しない — レガシー (28-14nm) 分野では中国が世界シェアを継続拡大
IV. 第一原理での投資戦略 — 12 ヶ月の「5 買い / 3 売り」推奨
ここまでの第一原理分解から、2nm 競争の構図は TSMC 熊本 (本命) > Rapidus (技術リスク高、補助金で押し上げ) > SMIC (物理的に 2027 年達成不可) という非対称な結果に収束する。
この構図を日本株市場に翻訳すると、明確な 「両陣営に売れる例外的勝者」セクターが浮かび上がる。日本の半導体製造装置・素材 5 社は、地政学的に米中いずれの陣営にも販売継続可能な稀有なポジションを保持している。
投資戦略の前提
- 時間軸: 12 ヶ月 (2026 年 5 月 → 2027 年 5 月)
- 想定シナリオ: H1/H4 通り (Rapidus 2nm パイロット達成、SMIC 7nm 量産継続、Trump 政権規制強化)
- 検証: 12 ヶ月後の株価で公開検証 (反証可能性)
- 本記事は投資助言ではない: 自己責任で判断、本記事を読んだ上で証券会社の正式分析を確認
🟢 買い推奨 5 銘柄
- 1. 東京エレクトロン (8035) — 両陣営販売の例外的勝者
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 株価レンジ | 35,000-42,000 円 |
| 時価総額 | 約 18 兆円 |
| 売上構成 | 中国 22-25% / 北米 18-20% / 韓国 18% / 台湾 18% / 日本 12% |
| 12 ヶ月目標株価 | 48,000 円 (+15-20%) |
投資論拠: Coater/Developer 装置で世界シェア 90% 超 (寡占)、TSMC N2 量産時の標準装置。米中対立で「両陣営に売れる」例外。Rapidus / TSMC 熊本 / SMIC 7nm 量産すべてに装置販売 → 競争結果に関係なく勝者。2026 Q4 から N2 量産設備の本格発注ピークで売上 30-40% 成長見込み。
- 2. Disco (6146) — ダイシング装置の独占的サプライヤー
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 株価レンジ | 38,000-46,000 円 |
| 時価総額 | 約 4.5 兆円 |
| 売上構成 | 中国 25-30% / 台湾 22% / 北米 18% / 韓国 15% |
| 12 ヶ月目標株価 | 52,000 円 (+15-20%) |
投資論拠: ダイシング装置で世界シェア 70-80%、TSMC/Samsung/Intel/TEL の必須サプライヤー。2nm GAAFET 構造で ASP 上昇。HBM 需要爆発で SK Hynix / Samsung HBM 量産の律速工程。
- 3. Lasertec (6920) — EUV マスク欠陥検査の世界独占
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 株価レンジ | 22,000-28,000 円 |
| 時価総額 | 約 2.5 兆円 |
| 売上構成 | 韓国 35% / 台湾 25% / 北米 18% / その他 22% |
| 12 ヶ月目標株価 | 34,000 円 (+25-30%) |
投資論拠: EUV マスク欠陥検査装置 (ACTIS) で世界シェア 100%。ASML EUV を使う全ファブが必須購入。Rapidus / TSMC 熊本の EUV 導入で日本国内売上が新規発生。EUV を持たない SMIC 経由の中国需要は元からゼロ → 米中対立リスクなし。
- 4. SUMCO (3436) — 300mm シリコンウェハーの寡占
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 株価レンジ | 2,200-2,800 円 |
| 時価総額 | 約 9,500 億円 |
| 12 ヶ月目標株価 | 3,400 円 (+25-30%) |
投資論拠: 300mm シリコンウェハーで信越化学と二強寡占。2nm/3nm ノード移行で高品質ウェハー需要急増。価格交渉力強く、2024 年から 15-20% の段階的値上げを実現。
- 5. SCREEN HD (7735) — 洗浄装置でシェア急拡大
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 株価レンジ | 11,000-14,000 円 |
| 時価総額 | 約 1.5 兆円 |
| 売上構成 | 中国 28% / 台湾 22% / 韓国 20% / 北米 15% |
| 12 ヶ月目標株価 | 17,000 円 (+25-30%) |
投資論拠: 半導体ウェハー洗浄装置で世界シェア 35-40%、Lam Research を追い上げ。2nm GAAFET の高アスペクト比構造で洗浄プロセス工程数が 1.5-2 倍に増加。中国 SMIC 7nm でも標準採用。
🔴 売り推奨 / 回避 3 銘柄
- 1. キオクシア (285A) — Rapidus 過剰期待 + 3D NAND 過剰投資
2024 年 12 月再上場時から 30% 上昇、Rapidus サプライヤーとしての連想買いで割高。3D NAND メモリ市場は中国 YMTC の参入で 2026 年から価格 deflation 局面。12 ヶ月株価予想: -10 〜 -15%。
- 2. ルネサスエレクトロニクス (6723) — 中国市場依存度高
車載 SoC で中国 EV メーカー BYD / NIO / Li Auto への売上 35-40%。米中対立で中国 EV の対米輸出規制 → 中国 EV メーカー減速 → ルネサス売上下振れ。12 ヶ月株価予想: -5 〜 -10%。
- 3. ローム (6963) — SiC パワー半導体の中国 EV 依存
SiC パワー半導体で中国 EV 向け売上 30%。中国 EV 減速 + 米中対立で対米輸出制限の余波。12 ヶ月株価予想: ±0 〜 -5% (中立寄り回避)。
ポートフォリオ戦略の提案
推奨配分 (10 万円の場合の例、デモ用):
- 東京エレクトロン: 30%
- Disco: 20%
- Lasertec: 20%
- SUMCO: 15%
- SCREEN HD: 15%
5 銘柄に分散することで米中対立シナリオの 1 つが外れても全体損失を抑制。「両陣営販売」セクターに集中することで、どちらが 2nm を勝っても恩恵。12 ヶ月以内に TSMC 熊本 Phase 3 公式発表 + Rapidus 試験生産歩留まり開示で再評価。
日本にとっての意味
本記事は、日本の半導体産業が直面する具体的なリスクと機会を提示している。まず、Rapidusへの過剰な期待は、日本経済にとってのリスクとなり得る。METIが1.7兆円もの補助金を投じるRapidusは、2027年4-6月のパイロット量産、年末のロジック量産を目指すものの、技術実現リスクが大きいと指摘されている。もしRapidusが目標達成に遅れれば、多額の公的資金が投じられたプロジェクトの頓挫は、国民負担増大や国際的な日本の技術力評価低下に直結する。
一方で、TSMC熊本の「真の勝者」という評価は、日本への新たな機会を意味する。TSMC熊本はPhase 3で2nmを検討中であり、技術リスクが最小とされている。これは、日本の半導体サプライチェーンが、世界最先端の半導体製造拠点としてさらに強化される可能性を示唆する。特に、東京エレクトロンやLasertecといった日本の半導体製造装置メーカー5社は、TSMCとRapidusの両陣営に製品を供給できる「例外的勝者」と位置づけられており、地政学リスクが高まる中でも安定的な収益確保が期待される。
結論として、日本はRapidusへの過度な投資集中を避け、TSMC熊本との連携強化を通じて、日本の半導体製造装置・素材産業の競争優位性をさらに高める戦略が求められる。SMICの2nm物理的困難という状況は、日本の半導体関連企業にとって中国市場での競争緩和という間接的な恩恵をもたらす可能性もある。
V. 反証可能性 + 検証スケジュール
本記事の H1/H4/H7 は 「検証可能な予測」として提示する。以下のスケジュールで月次更新し、予測が外れた場合は誠実に公開する。
検証 milestone
| 時期 | 検証指標 | 反証条件 |
|---|---|---|
| 2026-08 (3 ヶ月後) | Rapidus 試験生産進捗 / SMIC Q2 決算 | Rapidus 歩留まり開示で予想超過 |
| 2026-11 (6 ヶ月後) | TSMC 熊本 Phase 3 公式発表 | TSMC が 2nm 熊本投資を公式否定 |
| 2027-02 (9 ヶ月後) | Rapidus 2nm パイロット結果 | Rapidus がパイロット未達発表 |
| 2027-05 (12 ヶ月後) | 5 買い / 3 売り銘柄の株価検証 | 推奨銘柄が TOPIX 電機より 10% 以上劣後 |
月次モニタリング項目 (Pro 会員向け追加コンテンツ予定)
- SMIC 四半期決算 (HKEX filing) — Huawei 売上比率 / 7nm 歩留まり
- TSMC 月次売上 (台湾 TWSE filing) — 熊本 JASM 寄与度
- METI 半導体白書 (年次) — Rapidus 予算執行率
- ASML 出荷状況 (EUV/DUV 地域別)
- Bloomberg / SemiAnalysis 速報 (米国規制動向)
予測が外れた場合のコミットメント
外した予測は 公開撤回し、原因分析を別記事で公開する。これは Bloomberg や Reuters の伝統に倣う透明性の核心。
VI. リスク、示唆、一次ソース transparency
投資家としての具体アクション
今週中に:
今月中に:
- 各社の直近四半期 IR 資料を 1 時間かけて精読 (5 社 × 30 分 = 2.5 時間)
- Bloomberg 端末 or 楽天証券 / SBI 証券のチャートで過去 12 ヶ月レンジを確認
毎月:
- 本記事を月次でリビジョン、Pro 会員向け追加データレポート (準備中)
- SMIC HKEX filing 公開日 (1月 / 4月 / 7月 / 10月) で「米中対立 KPI 板」更新
マクロリスク
| リスク | 確度 (12 ヶ月) | 影響 |
|---|---|---|
| Trump-Xi 大規模取引 (規制緩和) | 10-15% | 5 買い銘柄 -10〜-15% |
| 台湾有事 (中国軍事行動) | 5-10% | 全銘柄 -30% 以上、TSMC 熊本だけ +20% |
| 為替急変 (USD/JPY 130 円割れ) | 20-25% | 5 買い銘柄 -5〜-10% |
| 米国景気後退 (NVIDIA 等減速) | 30-40% | Disco / Lasertec -10〜-15% |
一次ソース URL (transparency)
Rapidus 関連:
- METI 半導体・デジタル産業戦略: https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/conference/semiconductor_strategy.html
- Rapidus 公式 IR: https://www.rapidus.inc/
- IBM 2nm Announcement: https://research.ibm.com/blog/2-nm-chip
TSMC 熊本:
- JASM 公式: https://www.jasm-jp.com/
- TSMC IR: https://investor.tsmc.com/
SMIC / 中国:
- SMIC HKEX 0981 filing: https://www.hkexnews.hk/
- 中国国家集成電路産業投資基金: http://www.gov.cn/
- 中国工業情報化部 (MIIT) 公報: https://www.miit.gov.cn/
ASML / EUV:
- ASML 公式 EUV ロードマップ: https://www.asml.com/en/products/euv-lithography-systems
業界統計:
- SEMI World Fab Forecast: https://www.semi.org/
- SEAJ (日本半導体製造装置協会): https://www.seaj.or.jp/
本記事は Chinapost 半導体地政学チームが METI / TSMC IR / SMIC HKEX filing / ASML 公開資料を一次情報として独自分析した。
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