中国の太陽光発電産業が停滞に直面している。発電部門ではプロジェクトからの撤退が相次ぎ、製造部門でも2024年に入り1000億元(約2.2兆円)を超える事業が中止・延期されるなど、サプライチェーン全体で問題が深刻化している。一例として、山東省では63件の発電所計画が中止に追い込まれた。

発電部門で撤退相次ぐ、山東省で63件中止

発電部門では、電力各社による太陽光発電事業からの撤退が目立つ。中国メディアの報道によると、特に山東省では63件の太陽光発電所プロジェクトが中止され、関連する電力会社35社が影響を受けている。事業採算性の悪化などが背景にあるとみられる。

製造部門も失速、144GWの計画が宙に

製造部門の失速も鮮明だ。2024年以降、太陽光パネルや関連部材の製造プロジェクトにおいて、累計で1000億元を超える規模の計画が中止または延期された。これにより、合計144GW分にかなりする生産能力の増強計画が未完了のままとなっている。

政府支援も及ばず、過剰供給が影

中国政府はこれまで、補助金や産業政策を通じて太陽光発電の発展を強力に後押ししてきた。しかし、過剰な投資が招いた供給過剰と価格競争の激化が、業界全体の収益性を圧迫している。今回の停滞は、中国のエネルギー戦略の将来に大きな課題を突きつけている。

日本への影響

中国太陽光発電産業の停滞は、日本企業に対し直接的な事業機会の減少と、サプライチェーン再編の必要性を突きつける。まず、製造部門で1000億元を超える計画が中止・延期され、合計144GW分の生産能力増強が未完了となった事実は、中国市場における太陽光パネルや関連部材の需要が急減していることを示す。これにより、これまで中国向けに部材や製造装置を供給してきた日本の化学メーカーや機械メーカーは、売上減少のリスクに直面する。例えば、高純度シリコンや特殊ガラス、精密加工機械などを供給する企業は、新たな販路開拓を迫られるだろう。

次に、山東省で63件もの発電所計画が中止され、35社もの電力会社が影響を受けたことは、中国国内の再生可能エネルギープロジェクトにおける投資環境の悪化を明確に示す。これは、日本の大手商社やエンジニアリング企業が中国で太陽光発電事業への参画を検討する際、採算性や回収リスクをより厳しく評価する必要があることを意味する。過剰供給と価格競争の激化は、中国市場での新規参入や事業拡大の魅力を著しく低下させる。

一方で、この停滞は、日本企業にとってサプライチェーンの多様化を加速させる契機ともなり得る。中国一極集中リスクが顕在化したことで、東南アジアやインドなど、他の地域での太陽光発電関連事業への投資や、国内回帰の動きが加速する可能性がある。これにより、日本の再生可能エネルギー関連技術や製品の需要が、中国以外の市場で高まる機会が生まれる。