2024年の春節(旧正月)に伴う特別輸送期間「春運」で、航空分野の旅客輸送量が過去最多の延べ9500万人に達する見通しだ。中国民用航空局(CAAC)が発表した。一方で、航空会社の座席指定有料化を巡る問題が浮上し、消費者保護団体からの批判が高まっている。

旅客輸送量は過去最多、前年比5.3%増

CAACの予測によると、2024年の春運期間中(1月26日〜3月5日)の全国の旅客輸送量は、1日平均で238万人、前年同期比で約5.3%増となる見込みだ。これは、新型コロナウイルス禍前の水準を上回り、過去最多を更新する数字となる。

帰省や国内旅行の需要が完全にに回復したことを示すもので、航空各社にとっては繁忙期となるが、旅客サービスの質が改めて問われることにもなった。

座席指定の有料化に消費者から不満噴出

数千万人が移動するなか、航空券の価格や便の遅延率に加え、座席指定の有料化問題が再び大きな関心事となっている。中国航空輸送協会(CATA)は1月29日、航空会社の事前座席指定に関する規則についての意見公募を開始した。この動きは、問題の根深さを示しており、主にメディアも相次いで報じている。

多くの航空会社では、通路側や窓側の席、足元の広い席などを有料で販売したり、無料で指定できる座席の数を制限する「座席ブロック」を行ったりしており、これが消費者の不満を招いている。

消費者団体が「選択の自由を侵害」と批判

国内線の座席指定有料化や「座席ブロック」問題は、これまでも度々、社会的な注目を集めてきた。2023年11月末には、江蘇省の消費者保護委員会が航空会社10社から事情聴取を行い、有料での座席指定などについて協定した。

さらに中国消費者協会は2024年1月13日、航空業界の「追加料金による座席指定」を名指しで批判。「消費者の選択の自由や知る権利を侵害している」と厳しく指摘した。一連の動きを受け、監督官庁が何らかの規制強化に乗り出す可能性も出てきた。

結論:日本への示唆

中国の航空旅客数が過去最多の9500万人に達する見込みであることは、日本企業にとって二つの具体的な影響を持つ。第一に、中国国内の消費活動、特に旅行・観光需要の回復が鮮明であり、日本へのインバウンド需要回復への期待値が高まる。例えば、日本の航空会社や旅行代理店は、この旺盛な国内需要が国際線にも波及する可能性を考慮し、中国路線の増便や新たな旅行商品の開発を加速させるべきである。

第二に、座席指定有料化を巡る消費者団体の反発とCAAC、CATAによる規制の動きは、中国市場におけるビジネス展開の難しさを示唆する。中国消費者協会が「消費者の選択の自由や知る権利を侵害している」と批判したように、現地でのサービス提供においては、日本企業も同様の消費者保護意識の高まりに直面する可能性がある。特に、日本の航空会社が中国路線で類似の付加サービスを有料化する際、中国当局や消費者の反応を慎重に見極める必要がある。安易な価格戦略は、ブランドイメージの毀損や行政指導につながるリスクを孕む。中国市場でのビジネスは、単なる需要回復だけでなく、現地の消費者動向や規制環境の変化を常に注視し、柔軟に対応する戦略が不可欠となる。