米中の技術開発競争が新たな局面を迎えている。米国ではOpenAIのAI技術が国防総省に採用される一方、中国では半導体大手の中芯国際SMIC)が業績見通しを示し、Alibaba傘下のタオバオでは地方消費が急拡大するなど、両国の動向が世界のテクノロジー地図を塗り替えようとしている。

米国:AI技術を国防分野へ展開

OpenAIの対話型AI「ChatGPT」が、米国防総省のAIプラットフォームに採用された。これにより、最大で300万人の職員が同技術を利用可能になる。この動きは、最先端の民間AI技術が安全保障分野へ本格的に導入される画期的な事例として、世界中から注目を集めている。

中国:半導体国産化とAI・消費の拡大

中国の半導体受託製造(ファウンドリ)最大手、中芯国際SMIC)は、2024年第1四半期の売上高が前期比で横ばい、粗利益率は18%から20%になるとの見通しを発表した。米国の輸出規制下でも一定の生産水準を維持する姿勢を示している。

AI分野では、中国のスタートアップ生数科学技術(Shengshu Technology)が開発した動画生成AI「Vidu」が、国際的な性能評価で世界トップクラスと評されるなど、技術力が着実に向上している。新華社通信によると、中国政府はAI産業の育成を国家戦略の柱と位置付けている。

消費面では、AlibabaグループのECサイト「タオバオ」の即時配送サービス「閃購」における旧正月商戦の売上が、前年比で347%増加した。特に「三四線都市」と呼ばれる地方都市での伸びは580%を超え、内需の裾野の広がりを裏付けた。

その他のテクノロジー動向

一方、米電気自動車(EV)大手のテスラは、カリフォルニア州のクリーン大型車導入奨励プログラムから、同社の電動セミトラックに対して1億6500万ドルの補助金割り当てを受けた。環境規制を追い風に、商用EV市場での存在感を高める狙いだ。

日本のソニーグループは、ブルーレイディスクの生産・出荷を終了すると発表した。動画配信サービスの普及による物理メディア市場の縮小を反映した決定であり、事業構造の転換を象徴する動きだ。

日本企業への示唆

米国防総省がOpenAIのAI技術を最大300万人の職員に利用可能とすることは、日本の防衛産業および関連技術企業にとって、新たな連携機会を示唆する。米軍との共同開発やサプライチェーンへの参画を模索する際、AI技術のセキュリティと信頼性がこれまで以上に重要視されるだろう。

中国の中芯国際SMIC)が米国の輸出規制下でも一定の生産水準を維持し、粗利益率18-20%を見込むことは、日本の半導体製造装置メーカーにとって、中国市場でのビジネスモデル再構築を迫る。中国の半導体国産化政策は、日本からの装置輸入を抑制する可能性があり、高付加価値製品への特化や、中国以外の市場開拓が喫緊の課題となる。

Alibaba傘下のタオバオが旧正月商戦で売上347%増、特に地方都市で580%超の伸びを示したことは、日本の消費財メーカーやEC関連企業にとって、中国の地方市場が依然として大きな成長余地を持つことを明確にする。これまで一線・二線都市に注力してきた企業は、タオバオの「閃購」のような即時配送サービスを活用し、地方都市の消費トレンドや物流ニーズに合わせた商品開発・販売戦略を強化することで、新たな需要を取り込める可能性がある。