米国とイランの間で軍事的緊張が高まる中、中国が最新鋭の第5世代ステルス戦闘機「殲35(J-35)」の輸出に意欲を見せている。シンガポール航空ショーで大型模型が公開され、中東情勢を背景とした中国の兵器輸出戦略に注目が集まっている。

シンガポールで公開された「殲35」

シンガポールで2月に開催された航空ショーで、中国航空工業集団(AVIC)は「殲35」の大型模型を展示した。海外メディアによると、これは同機の輸出仕様であり、海外への販売を本格的に検討していることを示唆している。

殲35は、先進的なステルス技術と高性能エンジンを備えた第5世代戦闘機だ。専門家の間では、米国の最新鋭戦闘機F-35に匹敵する能力を持つとの分析が出ている。空母での運用も想定されており、高い汎用性を持つとみられる。

中国空軍の近代化と米軍の動向

中国人民解放軍空軍は、殲35のような第5世代戦闘機に加え、将来の第6世代戦闘機や無人機(ドローン)、特殊任務機を組み合わせた新たな作戦システムの構築を急いでいる。これは、西太平洋地域における米軍との技術的格差を埋め、航空優勢を確保する狙いがある。

一方、米軍は中東地域に空母打撃群や爆撃機部隊を増派し、イランに対する軍事圧力を強めている。この部隊展開は、イランの軍事施設や核関連施設への軍事攻撃を視野に入れたものとされ、地域の不安定化を招いている。中国はこうした地政学的な緊張を、自国製兵器の市場を拡大する好機と捉えている可能性がある。

結論:日本への示唆

中国が最新鋭の第5世代ステルス戦闘機「殲35」の輸出に意欲を示すことは、日本の安全保障と経済に直接的な影響を及ぼす。

第一に、中東地域への「殲35」輸出が実現すれば、地域の軍事バランスが変化し、日本のエネルギー供給経路であるホルムズ海峡周辺の不安定化リスクが高まる。イランなど反米勢力が高性能兵器を保有することで、有事の際のシーレーン防衛コストが増大し、原油価格の高騰を招く可能性がある。これは、エネルギー資源の多くを中東に依存する日本経済にとって、輸入物価上昇と企業収益圧迫という形で打撃となる。

第二に、中国が「殲35」のような先進的な第5世代戦闘機を輸出市場に投入することは、日本の防衛産業、特に航空機関連企業にとって新たな競争環境を生み出す。三菱重工業などが手掛ける次期戦闘機開発において、中国製戦闘機が低価格で高性能な選択肢として国際市場に登場すれば、日本の防衛装備品の輸出戦略に影響を及ぼす。特に、中国が「第6世代戦闘機や無人機(ドローン)、特殊任務機を組み合わせた新たな作戦システムの構築を急いでいる」点を鑑みると、日本の防衛産業は単なる機体性能だけでなく、システム全体での優位性を確立する必要に迫られる。

第三に、中国が中東の地政学リスクを商機と捉え、兵器輸出を拡大する姿勢は、国際的な軍備管理体制の形骸化を招く恐れがある。これは、日本の平和外交の基盤を揺るがし、国際社会における日本の発言力の低下に繋がりかねない。日本は、単なる経済的側面だけでなく、国際秩序維持の観点からも中国の兵器輸出動向を注視し、多国間協力による軍備管理強化の働きかけを強化すべきである。