中国のテクノロジー大手シャオミ(Xiaomi)が2024年3月28日に発売した初の電気自動車(EV)「SU7」の販売が好調だ。同社は、納車開始から2ヶ月となる5月末までに累計1万5688台を納車したと発表。これを受け、2024年の年間納車目標を当初の10万台から12万台へと引き上げた。

発売から2ヶ月で1.5万台を納車

シャオミ「SU7」は、2024年4月3日に最初の納車が行われた。4月単月で7058台、5月には8630台を納車し、累計台数は1万5000台を突破した。発売後24時間で8万8898台の予約注文が殺到するなど、市場の高い関心を集めている。

需要の急増に対応するため、シャオミは生産体制の強化を急いでいる。中国メディアの報道によると、同社の北京工場では6月から2交代制を導入し、月間生産台数を2万台近くまで引き上げる計画だ。これにより、納車待ち期間の短縮を目指す。

年間目標を12万台に上方修正

シャオミの創業者である雷軍(レイ・ジュン)CEOは、当初掲げていた年間10万台の納車目標について「達成に自信がある」と述べていたが、好調な受注状況を踏まえ、目標を12万台に上方修正した。同氏は「我々は全力で生産能力を拡大し、今年の納車台数12万台を保証する」と強調している。

「SU7」は、スマートフォンのエコシステムと連携する高度なソフトウェア機能や、スポーツカーを彷彿とさせるデザイン、そして21万5900元(約460万円)からという競争力のある価格設定が消費者に評価されている。シャオミは、スマホ事業で培ったブランド力と技術力を武器に、競争の激しい中国EV市場での地位確立を狙う。

日本にとっての意味

シャオミSU7の好調な販売は、日本企業にとって二つの具体的な影響と一つの機会をもたらす。まず、中国EV市場における競争激化は、トヨタやホンダといった日系自動車メーカーのシェア維持を一層困難にする。シャオミがわずか2ヶ月で1万5688台を納車し、年間目標を12万台に上方修正した事実は、新規参入組が既存勢力を急速に追い上げる可能性を示唆する。特に、スマートフォンで培ったブランド力とエコシステム戦略は、単なる自動車メーカーとは異なる顧客層への訴求力を持ち、日本勢が持つ「信頼性」や「品質」といった従来の強みだけでは対抗しきれない局面を生む。

次に、この成功は、EVのソフトウェアとコネクテッド機能の重要性を再認識させる。シャオミSU7がスマートフォンのエコシステムとの連携を強みとしている点は、車載OSや関連サービス開発における日本の遅れを浮き彫りにする。日本の部品メーカーは、単なるハードウェア供給に留まらず、中国EVメーカーが求める高度なデジタル統合技術への対応を急ぐ必要があり、これができない場合、サプライチェーンにおける存在感が低下するリスクがある。

一方で、シャオミのEV事業拡大は、日本の特定の部品メーカーや素材メーカーに新たなビジネス機会を提供する。特に、バッテリー関連技術や軽量化素材、高度な半導体など、EVの性能向上に不可欠な分野で強みを持つ日本企業は、シャオミのような急成長企業との取引を通じて、新たな収益源を確保できる可能性がある。ただし、技術流出リスクへの警戒と、中国市場特有のビジネス慣習への適応が前提となる。