旧正月明けとなった2月20日の香港株式市場で、中国の生成AI(人工知能)開発企業、Zhipu AI(智譜)AI (Zhipu AI) とMINIMaxの株価が急騰した。Zhipu AI(智譜)AIは一時42.72%高の725香港ドルを付け、両社の時価総額合計は大手ECのJD.comを上回った。
設立10年未満でJD.comの時価総額超え
この日の取引で、Zhipu AI(智譜)AIの株価は一時42.72%高の725香港ドル/株に達し、MINIMaxも14%以上上昇して970香港ドル/株を付けた。これにより、両社の時価総額の合計は3000億香港ドル(約5.7兆円)を突破。これは、中国の電子商取引(EC)大手JD.com(JD.com(京東)集団)の時価総額(約2946億香港ドル)を上回る規模となる。設立から10年未満のスタートアップ2社が、20年以上の歴史を持つ大手IT企業の企業価値を超えた形だ。
清華大学発、国産LLM技術を牽引
Zhipu AI(智譜)AIは、中国トップクラスの清華大学コンピューターサイエンス学部の技術を基に設立された企業である。その源流は1996(中国の長時間労働慣行)年に設立された同大学の知識工学研究室 (KEG) にある。中心人物である首席科学者の唐傑(Tang Jie)氏は同研究室の出身で、中国初となる1兆パラメータのオープンソース大規模言語モデル (LLM)「悟道 (WuDao) 2.0」の開発を主導した実績を持つ。同氏はGLMシリーズのモデルアーキテクチャも設計し、中国独自のLLM技術開発を牽引してきたと、中国メディアは伝えている。
結論:日本への示唆
旧正月明けにZhipu AIが一時42.72%高を記録し、MINIMaxとの合計時価総額がJD.comを上回った事実は、中国における生成AI技術の急速な商業化と市場評価の高まりを示唆する。日本企業にとって、この動きは二つの具体的な影響をもたらす。
第一に、中国の生成AI市場への参入障壁が上昇する可能性だ。Zhipu AIが清華大学のKEGを源流とし、唐傑氏が1兆パラメータの「悟道2.0」を主導したように、中国は国家レベルでAI技術開発を推進している。このため、日本企業が中国市場で独自のAIサービスを展開する場合、技術力だけでなく、中国政府の政策や国内企業との連携がより重要になる。特に、データ規制や技術移転に関するリスクを詳細に評価する必要がある。
第二に、日本国内のAI人材獲得競争が激化するリスクがある。中国のAIスタートアップが巨額の資金調達と高い市場評価を得ていることは、優秀なAIエンジニアや研究者にとって魅力的なキャリアパスとなり得る。日本企業は、給与水準や研究開発環境において、中国のトップ企業に引けを取らない競争力を持つ必要がある。そうでなければ、日本のAI人材が中国へ流出し、国内のAI技術開発が停滞する恐れがある。