ビットコイン価格が下落を続ける中、英スタンダードチャータード銀行が年末の価格目標を下方修正した。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待後退などを背景に、暗号資産市場全体で悲観的な見方が広がっている。
アナリスト予測、相次ぎ下方修正
スタンダードチャータード銀行のアナリスト、ジェフ・ケンドリック氏は、ビットコインの年末目標価格を従来の15万ドルから10万ドルに引き下げた。また、イーサリアムの目標価格も8,000ドルから4,000ドルに下方修正した。
ケンドリック氏は、ビットコイン価格が5万ドル近辺まで下落した後に反発する可能性があるとの見方を示した。市場では、FRBが6月までに利下げに踏み切らないとの観測が広がっており、これが相場の重しとなっている。
「デジタルゴールド」の役割に疑問符
ドイツ銀行のリサーチアナリスト、マリオン・ラボウレ氏は、金価格が年初来で14.56%上昇しているのに対し、ビットコインは下落している点を指摘。「ビットコインは『デジタルゴールド』(安全な価値の保存手段)としての役割を果たしていない」と分析した。
ラボウレ氏は、最近のビットコインETFからの大量の資金流出は、従来の投資家が暗号資産への関心を失いつつあることを示唆していると述べた。Fundstratのショーン・ファレル氏も、ビットコインが理論的には価値の保存手段とされながら、実際には高リスクの成長資産のように取引されている現状に失望感が広がっていると指摘した。
長期的には安定資産へ移行か
一方、強気な見方も存在する。市場分析会社BitQuantは、ビットコインが6万ドル近くまで調整した後、再び上昇基調を取り戻し、最終的に14万5000ドルまで上昇する可能性があると予測している。
Galaxy DigitalのCEOであるマイク・ノヴォグラッツ氏は、現在の市場の低迷は、暗号資産市場の構造変化の表れだと語る。同氏は「リスク許容度の異なる機関投資家の参入が進むことで、暗号資産市場の投機的な時代は終わりを告げる」と述べ、将来的には現実世界の資産と同様に、より低い収益率の安定した資産になるとの見通しを示した。
日本への影響と今後の展望
今回のビットコイン価格目標の下方修正は、日本の金融機関や投資家にとって、暗号資産市場へのアプローチを再考する契機となる。特に、スタンダードチャータード銀行がビットコインの年末目標を15万ドルから10万ドルへ、イーサリアムを8,000ドルから4,000ドルへと大幅に引き下げたことは、これまで暗号資産を成長資産としてポートフォリオに組み入れてきた日本の機関投資家に対し、リスク評価の厳格化を促す。
ドイツ銀行のアナリストが指摘するように、金価格が年初来14.56%上昇する一方でビットコインが下落している現状は、「デジタルゴールド」としての信頼性が揺らいでいることを示す。これは、日本の富裕層や個人投資家が、有事の際のヘッジとして暗号資産を検討する際に、その実効性についてより慎重な判断を求めることになる。
一方で、Galaxy DigitalのCEO、マイク・ノヴォグラッツ氏が「リスク許容度の異なる機関投資家の参入が進むことで、暗号資産市場の投機的な時代は終わりを告げる」と述べた点は、日本企業にとって新たな事業機会を示唆する。例えば、日本の金融機関が、より安定した収益率を求める機関投資家向けの、低リスク運用を志向した暗号資産関連金融商品の開発に注力する可能性が考えられる。また、ビットコインが5万ドル近辺まで下落した後に反発するとの見方は、日本のブロックチェーン技術開発企業が、市場の調整局面を捉え、より実用的なユースケースに焦点を当てたサービス開発を進めるインセンティブとなり得る。