中国のバイオテクノロジー大手ベイジーン(BeiGene)は2月26日、2024年12月期通期決算を発表した。売上高が382億元(約7兆8000億円)に達し、14億元の純利益を計上。2010年の創業以来、初の通期黒字化を達成した。

創業15年で初の通期黒字

北京に本社を置くベイジーンは、上海と香港、米ナスダックに上場しており、A株の時価総額は約4000億元に上る。同社は2020年から2024年までの5年間で、研究開発に累計565億元を投じるなど積極的な先行投資を続けてきた。長年、巨額の赤字が続いていたが、ついに黒字転換を果たした形だ。

主力薬「ブルキンサ」が世界で急成長

黒字化の原動力となったのは、主力製品である血液がん治療薬「ブルキンサ(一般名:ザヌブルチニブ)」だ。2024年の世界全体での売上高は280億元と、前年比で約50%増加した。市場別では、米国が202億元と全体の7割以上を占め、欧州が42億6500万元、中国が24億7200万元となり、いずれも大きく伸長した。

積極的な研究開発と今後の見通し

ベイジーンは新薬開発にも引き続き注力する。2024年には世界で170以上の臨床試験を進め、研究開発費は約154億元に上った。2025年1月には、新たな抗がん剤が中国で承認され、すでに300人以上の患者に処方されているという。同社の経営陣は、2026年の通期売上高について436億元から450億元の範囲になると予測。売上総利益率(粗利率)は80%台の高水準を維持する見通しだと、新華社通信は伝えている。

まとめ:日本への示唆

ベイジーンの通期黒字化は、日本企業にとって中国バイオ市場の変容を明確に示唆する。まず、同社の主力薬「ブルキンサ」の2024年世界売上高280億元のうち米国が202億元を占める事実は、中国発の革新的な医薬品がグローバル市場で通用する段階に入ったことを意味する。これは、これまで日本企業が強みとしてきた高付加価値医薬品開発における競争激化を招く。特に、日本企業が注力するオンコロジー領域では、ベイジーンのような中国企業が開発スピードとコスト競争力で優位に立つ可能性があり、共同開発やライセンス導入など、従来の事業戦略の見直しが迫られる。

次に、ベイジーンが2020年から2024年までの5年間で研究開発に累計565億元を投じ、黒字転換後も2024年に154億元を投じる積極性は、中国政府のバイオ産業育成策と相まって、今後も革新的な新薬が中国から次々と生まれることを示唆する。日本企業は、中国市場を単なる製造拠点や販売先と捉えるのではなく、先端技術や新薬シーズの供給源として再評価する必要がある。例えば、中国のスタートアップ企業との連携強化や、M&Aを通じた知財・技術獲得は、新たな成長機会となり得る。

最後に、ベイジーンがナスダックにも上場し、グローバルな資金調達力を有している点は、中国バイオ企業の資金力と成長意欲の高さを示す。日本企業が中国市場で競争優位性を維持するには、単独での事業展開に固執せず、中国企業との戦略的提携や、相互の強みを活かした協業を積極的に検討する時期に来ている。