財信証券の首席経済学者である袁闖氏は、春節(旧正月)後の中国金融市場について、不安定ながらも上昇基調を維持し、物色の中心が成長株へ移行するとの見通しを示した。投資家には変動リスクを管理しつつ、機動的な資産配分を行うよう推奨している。

春節後の市場見通し

袁闖氏は、市場の基本的に的な動向は変わっていないと分析。春節後の市場は、これまでのバリュー株優位の展開から成長株(グロース株)が主導する局面への転換が予想されると述べた。市場の基調は、企業の収益見通しの改善、個人の貯蓄増加、そして政府による過当競争を是正する政策の推進などによって支えられているという。

推奨される投資戦略

投資戦略について袁闖氏は、投資家が適度なポジションを維持し、変動リスクとのバランスを取ることが重要だと指摘する。さらに、各自のリスク許容度に応じて、攻守のバランスを考えた資産配分を柔軟に行うべきだとした。市場には短期的な変動要因が多いものの、構造的な変化の中に投資機会を見出すことができるとしている。

市場の構造的特徴とアセットアロケーション

中国市場の構造的特徴として、同氏は「カレンダー効果」とバリュエーション主導の動きを挙げる。春節前は例年、家電、社会サービス、銀行といった優良株(ブルーチップ)セクターがリターンの点で優位になる傾向がある。時価総額別では、大型株指数が中型株指数をアウトパフォームする展開が見られた。

アセットアロケーションの観点では、株式市場は2025年12月中旬から2026年3月初旬にかけて買い場を迎える可能性があると予測。投資タイミングとしては「急騰局面ではリスク管理を徹底し、調整局面で買い向かう」戦略が有効だとした。債券市場は国債の供給懸念が後退していることや、株式と債券の間の資金シフト効果の減退に支えられる見込みだ。商品市場では、マクロ経済の不透明感が後退することで金(ゴールド)に買い妙味があるとの見解を財信証券は示している。

日本への影響

財信証券の袁闖氏が指摘する中国市場の成長株への転換は、日本企業にとって事業戦略の見直しを迫る。これまで中国市場で安定した収益を上げてきた家電や銀行などの優良株セクターに属する日本企業は、成長株シフトにより競争環境が激化する可能性がある。例えば、中国の個人消費がサービス分野へ傾注し、政府の過当競争是正策が進む中で、日本企業の製品・サービスが中国消費者の新たなニーズに合致するか否かが問われる。

また、2025年12月中旬から2026年3月初旬に中国株式市場が買い場を迎えるとの予測は、日本企業による対中投資戦略に影響を与える。この時期に中国市場への新規参入や事業拡大を検討する日本企業は、成長株セクターへの投資を強化することで、中国経済の新たな成長の波に乗る機会を得る。一方で、金(ゴールド)への買い妙味という見解は、中国の富裕層が資産保全のために金投資を増やす可能性を示唆しており、日本の宝飾品メーカーや貴金属関連企業にとっては新たな需要創出の機会となる。ただし、変動リスクへの機動的な資産配分が推奨されていることから、日本企業は中国市場における事業展開においても、柔軟なリスク管理体制を構築する必要がある。