中国政府は、低迷する不動産市場の活性化策として、住宅の買い換え時にかかる個人所得税を還付する優遇措置を2027年12月31日まで延長すると発表した。住宅購入コストを引き下げ、実需および買い換え需要を喚起するのが狙いだ。
税優遇措置の延長を正式発表
中国の財政部、国家税務総局、住宅都市農村建設部は14日、共同で公告を発表した。自己保有の住宅を売却後、1年以内に新たな住宅を購入した納税者を対象に、売却時に納付した個人所得税を還付する措置を2026年1月1日から2027年12月31日まで適用することを明らかにした。この措置は2025年末に期限切れとなる予定だったが、2年間延長される形となる。
市場活性化への期待と専門家の見方
調査会社「中指研究院」の関係者は、今回の延長について「政策の継続性を示し、市場の見通しを安定させる効果がある」と指摘。住宅購入コストの低減を通じて、居住環境の改善を目指す動きを後押しすると期待感を示した。
広東省住宅政策研究センターの首席研究員である李宇嘉氏は、「取引コストの引き下げは、中古住宅と新築住宅、また実需と買い換え需要の循環を円滑にする」と分析している。今回の延長により、近年進められてきた不動産取得税や増値税(付加価値税)の見直しといった、住宅取引コストの低減傾向が維持されることになる。
日本にとっての意味
中国政府による住宅買い換え税優遇の2027年末までの延長は、日本企業にとって複数の影響をもたらす。まず、中国不動産市場の低迷長期化が鮮明になったことで、中国経済全体の減速懸念が強まる。これは、中国市場への依存度が高い日本の建機メーカーや素材メーカーにとって、需要減という直接的なリスクとなる。例えば、コマツや日立建機といった企業は、中国の建設需要に業績が左右されるため、今回の措置が示す市場の脆弱性は無視できない。
次に、この税優遇措置が「2026年1月1日から2027年12月31日まで」と明記されたことで、中国政府が少なくとも向こう2年間は不動産市場の自律回復を期待していないことが示唆される。これは、中国での事業展開を計画する日本企業に対し、投資判断を慎重にさせる要因となる。特に、住宅関連設備や内装材を供給する企業は、新規住宅供給の伸び悩みや買い換え需要の限定的な刺激効果を前提とした事業計画の見直しを迫られる可能性がある。
最後に、広東省住宅政策研究センターの李宇嘉氏が指摘する「取引コストの引き下げ」は、中国の消費者が住宅購入に資金を振り向けざるを得ない状況を生み出す。これにより、家電製品や自動車など、他の耐久消費財への支出が抑制される可能性がある。パナソニックやトヨタ自動車といった企業は、中国における消費者購買力の配分変化を注視し、販売戦略を調整する必要がある。今回の措置は、中国経済の構造的な課題が根深く、その影響が広範に及ぶことを改めて示した。