中国の新興EV(電気自動車)メーカー、XPeng(シャオペン)はAI技術への注力を強化している。同社は先日開催した新車発表会で、自社開発のAIチップを搭載した新型車4車種を発表し、AIが主導する自動運転技術の高度化で競合のテスラを追撃する方針を明確にした。

AIが性能を左右する自動運転戦略

XPengの何XPeng(シャオペン)(か・しょうほう)最高経営責任者(CEO)は、自動運転技術の向上が将来のEV性能を決定づける重要な要素になると強調。テスラの戦略と同様に、ソフトウェアとAI技術の優位性を確立することが競争力の源泉になるとの考えを示した。

同社はこれまでも先進運転支援システム(ADAS)「XNGP」の開発に注力してきた。今回の発表は、ハードウェアであるAIチップの自社開発に踏み込むことで、ソフトウェアとハードウェアを垂直統合し、開発を加速させる狙いがある。

最大3基のAIチップを搭載する新モデル

1月8日に開催された発表会で公開された新型車は、搭載する自社開発AIチップの数に応じて3つのバージョンが設定されている。「MAXバージョン」には1基、「Ultra SEバージョン」には2基、そして最上位の「Ultraバージョン」には3基のAIチップが搭載される。これにより、処理能力を差別化し、多様な価格帯と性能の選択肢を顧客に提供する。

XPengは、これらの新型車投入により、複雑な都市部での自動運転機能などを大幅に向上させるとしている。同社は2026年を自動運転技術の進化における重要な年と位置づけており、AI技術への積極的な投資を継続する方針だ。

日本市場への影響

XPengのAIチップ自社開発と搭載車投入は、日本の自動車産業に複合的な影響をもたらす。まず、車載AIチップ市場における競争激化が挙げられる。XPengが「Ultraバージョン」に最大3基のAIチップを搭載し、ソフトウェアとハードウェアの垂直統合を進める戦略は、日本の半導体メーカーや自動車部品メーカーにとって新たな顧客獲得の機会となる一方で、中国EVメーカーが自社開発を進めることで、既存のサプライチェーンにおける地位が脅かされるリスクも生じる。例えば、ルネサスエレクトロニクスのような車載半導体大手は、中国EVメーカーの技術動向を注視し、協業や新たなソリューション提供の可能性を探る必要がある。

次に、自動運転技術開発の加速は、日本の自動車メーカーの競争戦略に影響を与える。XPengが2026年を自動運転技術の重要な年と位置づけ、都市部での複雑な自動運転機能向上を目指すことは、トヨタ自動車やホンダといった日本の主要メーカーが、AI技術への投資をさらに強化し、開発スピードを上げる必要性を示唆する。特に、中国市場における自動運転技術の進化は、日本のメーカーが中国市場での競争力を維持するために、現地ニーズに合わせた技術開発を加速させるインセンティブとなる。

最後に、EVの価格競争力への影響も看過できない。AIチップの自社開発は、長期的にはコスト削減に繋がり、XPengのEVがさらに競争力のある価格で市場に投入される可能性を高める。これは、日本メーカーがEVの価格戦略を見直す必要性を生じさせ、コスト効率の高い生産体制やサプライチェーンの構築がより一層求められる。