中国の2024年の貿易が好調に推移し、特に長江デルタ地域と黄河流域が全体の成長を牽引したことが明らかになった。中国税関総署の発表によると、長江デルタの貿易額は10兆8400億元に達し、新エネルギー車(NEV)の輸出が倍増するなど、特定産業の躍進が目立つ。

長江デルタが貿易の牽引役、NEV輸出が倍増

2024年、長江デルタ地域の貿易額は10兆8400億元(約238兆円)に達し、中国全体の貿易額の約4割を占めた。この成長を支えるのが新エネルギー車(NEV)産業だ。浙江省のあるNEVメーカーは、1時間あたり平均42台、月産2万台以上を生産している。

同社の責任者である彭亮氏は、「主に部品の65%は自社で開発・生産しており、価格競争力の高い製品を提供している」と述べた。NEVの輸出台数は2024年に前年比103%増加。物流効率を高めるため、コンテナ船輸送とRORO船(ロールオン・ロールオフ船)を併用する戦略がとられている。

黄河流域も過去最高の貿易額を記録

内陸部の黄河流域でも貿易は活況を呈している。2024年の輸出入総額は6兆4900億元(約143兆円)に達し、過去最高を更新した。この地域もまた、中国の貿易における重要な成長エンジンとなっている。

その一例として、山東省の日照港では木材の輸入が盛んだ。2024年の木材輸入量は1000万立方メートルを超え、安定した物流量が地域経済を支えていることがうかがえる。

日本への影響

中国のNEV輸出倍増は、日本経済に複合的な影響をもたらす。まず、浙江省のNEVメーカーが部品の65%を自社開発・生産している点は、日本の自動車部品メーカーにとって脅威となる。中国NEVメーカーの垂直統合戦略は、サプライチェーンにおける日本企業の介在余地を縮小させ、既存の部品供給網の見直しを迫るだろう。特に、エンジン関連部品や駆動系部品で強みを持つ日本企業は、NEVシフトによる需要減退と中国内製化の二重苦に直面する可能性がある。

次に、NEV輸出の急拡大は、日本の海運業界に新たなビジネス機会をもたらす。RORO船とコンテナ船の併用戦略は、完成車輸送における効率化を追求するものであり、日本の大手海運会社、例えば日本郵船や商船三井は、中国NEVメーカーからの輸送需要を取り込む余地がある。特に、RORO船の運航ノウハウを持つ日本企業は、この分野で競争優位を確立できる可能性がある。

最後に、長江デルタ地域の貿易額が10兆8400億元に達し、中国全体の約4割を占める事実は、日本企業が中国市場戦略を再考する上で重要だ。この地域は、単なる生産拠点から、巨大な消費市場、そして技術革新の中心地へと変貌している。日本企業は、中国のNEV市場における競争激化をリスクと捉えるだけでなく、中国の旺盛な内需を取り込むための新たな販売戦略や、共同研究開発の機会を探るべきである。例えば、EV充電インフラやバッテリーリサイクルなど、NEV関連の周辺サービス分野での協業も視野に入れる必要がある。