中国人民解放軍空軍のアクロバット飛行チーム「八一飛行表演隊」が2026年1月27日、シンガポールのチャンギ国際空港に到着した。シンガポール航空ショーに参加するためで、J-10戦闘機7機で構成される同チームが海外で展示飛行を行うのは今回で13回目となる。2020年2月の第7回大会に続き、2回目の参加だ。

現地での準備と飛行計画

同チームは今後、現地の環境に合わせた適応訓練を経て、航空ショー本番での展示飛行に臨む。主催者の計画に基づき、期間中に複数回のアクロバット飛行を披露する予定だ。中国メディアの報道によると、離着陸するチャンギ国際空港と展示飛行を行う空域が異なるため、飛行は海上で行われるという。

空中給油で長距離展開能力を誇示

今回の展開では、大型輸送機を基にしたY-20A空中給油機が支援のために初めて帯同した。中国空軍の謝鵬(シェ・ポン)大佐が発表したところによると、J-10戦闘機隊は空中給油を受けることで、1度の経由のみでシンガポールまで飛行することができた。これは、中国空軍の長距離作戦遂行能力が向上していることを示すものだ。

日本への影響と示唆

中国空軍「八一」飛行表演隊のシンガポール航空ショー参加は、日本の安全保障と経済に直接的な影響を及ぼす。まず、J-10戦闘機がY-20A空中給油機の支援を受け、一度の経由のみでシンガポールまで飛行できたという事実は、中国空軍の長距離展開能力が飛躍的に向上していることを明確に示している。これは、南西諸島を含む日本の周辺海域における中国の航空優勢確立の可能性を高め、日本の防衛戦略に再考を迫る。特に、台湾有事の際には、中国がより広範囲から航空戦力を展開できることを意味し、日本の防衛負担が増大するリスクがある。

次に、海上での展示飛行計画は、中国が東南アジア諸国に対し、海洋進出の意図を軍事力誇示によって明確に伝える意図があると解釈できる。シンガポールはASEANの中心的存在であり、同国での軍事プレゼンス拡大は、南シナ海問題における中国の主張を強化し、日本のシーレーン安全保障に影響を与える。日本の貿易量の約9割が海上輸送に依存しており、南シナ海の不安定化は経済活動に直接的なダメージを与える。

最後に、2020年2月に続き、今回で2回目の参加となるシンガポール航空ショーへの継続的な参加は、中国が東南アジア地域における軍事外交を強化している証左である。これは、日本が提唱する「自由で開かれたインド太平洋」構想に対する中国からの挑戦と捉えることができ、日本の外交戦略における連携強化の必要性を浮き彫りにする。特に、ASEAN諸国との防衛協力や経済安全保障対話の深化が喫緊の課題となる。