北京市消費者協会は、中国の大手ホテルチェーン華住集団(Huazhu Group)が運営する会員プログラム「華住会」の利用規約に、消費者の権利を不当に制限する条項が含まれていると指摘した。同協会は華住集団に対し、規約の是正を求めている。
一方的な仲裁条項が問題に
北京市消費者協会の調査によると、問題とされたのは利用規約の第11条2項だ。ここには「協定が不調に終わった場合、上海仲裁委員会に仲裁を申し立てる」との規定がある。
同協会は、この条項が紛争解決の仲裁地を一方的に指定するものであり、消費者が居住地で訴訟を起こす権利などを不当に制限していると判断した。これは中国の消費者権益保護法に抵触する可能性がある。
規約是正を要求、応じなければ強硬措置も
これを受け、北京市消費者協会は華住集団に対し、当該の不公正な条項を削除または修正するよう要求した。企業側が消費者保護の観点から規約を見直し、適切な措置を講じるべきだとしている。
華住集団が要求に応じない場合、同協会は公益訴訟に踏み切るなど、より強硬な措置も辞さない構えだ。中国メディアの財経網が報じた。
日本への影響と示唆
本件は、中国における消費者保護意識の高まりと法執行の厳格化が、日本企業に与える具体的な影響を示す。華住集団の「第11条2項」が一方的な仲裁地指定として問題視されたように、中国市場で事業を展開する日本企業は、自社の利用規約や契約書における紛争解決条項を再点検する必要がある。特に、消費者との間で発生しうるトラブルの際、日本企業側に有利な管轄や仲裁地を一方的に指定する条項は、北京市消費者協会のような公的機関から「消費者の権利を不当に制限する」と判断され、是正勧告や公益訴訟の対象となるリスクが高い。
また、華住集団が要求に応じなければ公益訴訟も辞さないという姿勢は、単なる行政指導に留まらない強制力を伴う可能性を示唆する。これは、中国市場におけるビジネス慣行が、日本国内のそれとは異なる厳しさを持つことを改めて認識させる。日本のホテルチェーンやサービス業が中国市場に進出する際、現地の法律や消費者保護の動向を深く理解し、契約実務に反映させる必要性が高まる。例えば、アパホテルや東横インといった日本企業が中国で会員プログラムを展開する場合、本件と同様の指摘を受けないよう、事前に法的リスクを評価し、規約を修正するなどの対応が求められる。中国の消費者保護法制の厳格化は、日本企業にとって事業継続上の直接的なリスクとなり得るため、法務部門と連携した継続的なモニタリングが不可欠である。