ファーウェイ(ファーウェイ技術)と自動車メーカーSERES(SERES(賽力斯))が共同展開する電気自動車(EV)ブランド「AITO(問界、HUAWEI×SERES)(AITO(問界))」は4月13日、新型SUV「M9」を発表した。同モデルはファーウェイの最新運転支援システムを搭載し、高度な自動化機能が注目される一方、その位置付けを巡り関係者の間で見解が分かれている。

ファーウェイの最新運転支援システム「乾崑ADS」を搭載

AITO(問界、HUAWEI×SERES) M9の最大の特長は、ファーウェイが新たに発表したインテリジェント運転システム「乾崑(QiankunADS 4.0」を搭載している点だ。これにより、都市部や高速道路での高度な運転支援機能を実現するとされる。中国メディアの報道によると、車両にはインタラクティブライトや後部LEDディスプレイなど、独自の設計も採用されている。

中国のEV市場は世界最大規模に成長しており、IT大手と自動車メーカーの連携による高機能なスマートEVの開発競争が激化している。ファーウェイは通信機器事業で培った技術力を自動車分野に応用し、AITO(問界、HUAWEI×SERES) M9をその成果の集大成と位置付けている。

自動運転か補助運転か、見解の相違が露呈

一方で、搭載されるシステムの性能を巡っては、関係者間で認識のずれが表面化した。ファーウェイの常務取締役でコンシューマー事業を率いる余承東(リチャード・ユー)氏は、M9を「ファーウェイの技術が搭載された新世代車」と強調し、高度な自動運転能力を示唆した。

しかし、AITO(問界、HUAWEI×SERES)の公式見解では、「乾崑ADS 4.0」はあくまで高度な「補助運転システム」であり、完全にな自動運転ではないと説明している。この見解の相違は、現行の法規制や技術的限界と、製品の先進性をアピールしたいメーカー側の意図との間で、表現に揺れがあることを示唆している。M9の価格はまだ発表されていないが、市場での高い関心を集めることは確実視されている。

日本市場への影響

AITO M9に搭載されたファーウェイの「乾崑ADS 4.0」は、日本企業にとって二つの具体的な影響をもたらす。第一に、デンソーやアイシンといった日本の自動車部品メーカーは、中国EV市場における新たな競争軸として、ソフトウェアとハードウェアの統合型運転支援システムへの対応を急ぐ必要がある。ファーウェイが通信技術で培った知見を自動車分野に応用し、高度な運転支援機能を実現していることは、従来のハードウェア中心の開発体制では太刀打ちできない可能性を示唆する。特に、インタラクティブライトや後部LEDディスプレイといった独自設計は、単なる機能性だけでなく、ユーザー体験を重視する中国市場のトレンドを反映しており、日本のサプライヤーもデザインやインタラクションの側面での付加価値提供を求められる。

第二に、AITO M9における「自動運転」と「補助運転」の見解の相違は、日本の自動車メーカーが中国市場で新技術を投入する際のマーケティング戦略と法務リスクに直結する。中国では「自動運転」の定義や規制が流動的であり、ファーウェイとAITOの見解のずれが示すように、アピールしたい技術レベルと実際の法的制約との間で表現の齟齬が生じやすい。トヨタやホンダといった日本の完成車メーカーは、この曖欖な状況下で、自社の高度運転支援システムをどのように表現し、消費者の誤解を招かないか、また将来的な法規制変更にどう対応するか、慎重な戦略立案が不可欠となる。中国市場での成功には、技術力だけでなく、現地の法規制と消費者心理を深く理解したコミュニケーション戦略が求められる。