中国のAIソリューション企業、潤芯微(ランシン・マイクロ)は4月25日、北京モーターショーで戦略・製品発表会を開き、ソフトウェアとハードウェアを統合した独自の車載AI基盤を公開した。国産技術を核としており、自動車やロボット分野への展開を加速させる方針だ。

「1+4+N」戦略で多分野展開

ランシン・マイクロは発表会で「1+4+N」戦略を正式に打ち出した。これは、1つのAI基盤を中核に、4つのコア技術と多数のスマートデバイス群へ展開する構想だ。

4つのコア技術は、①国産コンピューティングプラットフォーム「知芯」、②AIオペレーティングシステム「知微・AIOS」、③エッジAIモデル「知潤」、④各種スマートデバイスで構成される。同社はこの戦略に基づき、自動車やスマートフォン、ロボットなどの分野で事業を拡大する計画だ。

国産化率90%のAI基盤を発表

今回公開された新製品には、スマートコックピット向けのAI基盤「C200」が含まれる。演算能力は6万〜9万DMIPSで、国産化率は90%に達するという。

また、自動運転などを支援する高性能コンピューティングプラットフォーム「X100」も発表された。演算能力は10万DMIPSに加え、80TOPSのAI処理性能を持つ。同社はこれらのハードウェアに加え、独自のOS「知微・AIOS」とマルチモーダルAIモデル「知潤」も公開し、技術力の高さをアピールした。

サプライチェーンの課題解決を目指す

ランシン・マイクロの劉青・最高経営責任者(CEO)は、「自動車産業はスマート化と自主制御の新たな段階に入った」と指摘。その上で、「業界には中核技術の不足や価格競争、サプライチェーンの不安定さといった課題が依然として存在する」と述べた。

同氏は「我々はフルスタックのエンジニアリング能力を強みに、国産AI基盤などの分野に注力する。サプライチェーン全体と協力し、国産技術の大規模な実用化を推進していく」と語った。

日本への影響

ランシン・マイクロの車載AI基盤発表は、日本企業にとって複数の具体的な影響をもたらす。まず、スマートコックピット向けAI基盤「C200」の国産化率90%という数値は、中国市場における日系自動車部品メーカーの競争環境を一層厳しくする。特に、車載半導体やソフトウェア分野で中国への輸出依存度が高い企業は、代替品の国産化が進むことで、販売機会の減少や価格競争の激化に直面するリスクがある。

次に、高性能コンピューティングプラットフォーム「X100」が持つ10万DMIPSの演算能力と80TOPSのAI処理性能は、中国の自動車メーカーが自社で高度な自動運転システムを開発・実装する能力を高めることを意味する。これにより、日本の自動運転技術プロバイダーやセンサーメーカーは、中国市場での提携先確保や技術提供の機会が減少する可能性がある。例えば、デンソーやアイシンといった日本の主要自動車部品メーカーは、中国市場での新たな戦略構築を迫られるだろう。

最後に、ランシン・マイクロが提唱する「1+4+N」戦略は、AI基盤を中核に自動車、スマートフォン、ロボットなど多分野への展開を目指しており、これは中国の産業全体におけるAI技術の垂直統合とエコシステム構築を加速させる。日本の製造業は、単一部品の供給に留まらず、中国のAIエコシステムに組み込まれる形での連携や、新たな技術提携の模索が求められる。これは、単なる製品供給からソリューション提供へのビジネスモデル転換を促す機会ともなり得る。