サムスン電子が、半導体事業において営業利益率50%という野心的な目標を掲げたことが分かった。業界関係者によると、同社はDRAMとNANDフラッシュメモリーの生産能力を強化し、競合のSKハイニックスを追撃する構えだ。この計画は2026年末まで続く見通し。

DRAM・NANDの生産強化

サムスン電子は目標達成に向け、メモリー事業の生産体制を再構築する。DRAMについては、1c世代DRAMの既存生産能力をサーバー向け汎用メモリーに割り当てる計画だ。次世代のHBM4(広帯域メモリー)の生産拡大は、歩留まりが安定した後に本格化させる方針である。

NANDフラッシュメモリーに関しても、製造プロセスの高度化を加速させる。同社はDRAMとNANDの新たな生産能力を段階的に市場投入することで、世界的な半導体需要の増加に対応し、供給の逼迫を緩和する狙いがある。

競合SKハイニックスを追撃

サムスン電子の半導体事業における営業利益率は、直近の決算で37.27%だった。これは、同58.39%を記録したとされる競合のSKハイニックスに大きく水をあけられている状況だ。今回の50%という目標設定は、収益性で先行するライバルを強く意識した戦略とみられる。

AI(人工知能)サーバー市場の急拡大を背景に、HBMなど高付加価値メモリーの需要が急増している。サムスン電子は生産能力の増強とプロセスの最適化を両輪で進め、収益性を抜本的に改善し、メモリー市場における主導権を確固たるものにしたい考えだ。

日本企業への示唆

サムスン電子の半導体事業における営業利益率50%目標は、日本の半導体関連企業にとって複数の影響をもたらす。まず、DRAMとNANDフラッシュメモリーの生産能力強化は、半導体製造装置メーカーに短期的な恩恵をもたらす可能性がある。特に、東京エレクトロンやSCREENホールディングスといった日本の主要装置メーカーは、サムスンからの設備投資増強に伴う受注増加が期待できる。サムスンが2026年末までの達成を目指す中で、新規ラインや既存ラインの改修需要が高まるためだ。

一方で、サムスンがDRAMの1c世代生産能力をサーバー向けに割り当て、HBM4の生産拡大を図ることは、日本の半導体材料メーカーにとって機会とリスクの両面がある。高付加価値メモリーの生産増は、より高度な材料や精密化学品の需要を創出するが、サムスンが内製化を進める可能性も考慮する必要がある。

また、サムスンがSKハイニックスの営業利益率58.39%に対し、現状37.27%という収益性の差を埋めようとする動きは、メモリー市場全体の競争激化を意味する。これは、日本の半導体商社や、メモリーを使用する電子機器メーカーにとって、仕入れ価格の変動リスクを高める可能性がある。特に、AIサーバー市場のHBM需要拡大は、高価格帯メモリーの供給安定性に影響を与えかねない。日本企業は、サプライチェーンの多様化や、特定のメモリー製品への依存度低減を検討すべき時期に来ている。